8月は雷発生のピークです。防災士と気象予報士の資格も持つ伊藤瞳アナウンサーが、「雷から身を守るキホン」をお伝えします。
雷は、雲と地上の間で発生する放電現象です。
夏の時期が最も多く、特に8月が最多となっています。
日本全国の雷観測を独自に行っている民間の気象会社「フランクリン・ジャパン」によると、宮城県はおととしの落雷発生日数が全国で44番目と少ない方ですが…
フランクリン・ジャパン気象予報士 重田絵里奈さん
「宮城県の落雷件数の10年平均は5500回。少ない年で2000回。多い年で1万回を超える。年によってばらつきあり、発生場所も主に山間部だが、平野部でも起きるし、満遍なく起きている」
これからの時期に最も多く発生する雷。雷から身を守るための4つのキホンをお伝えします。
1.「雷の威力」
東北学院大学五橋キャンパスです。工学部には雷を再現する装置があります。
小澤哲也教授
「高電圧発生装置、いわゆる雷発生装置。こちらで20万ボルト発生させて、落雷する」
瞬間的に稲光が走り強い衝撃音と共に木の模型が吹き飛びました。20万ボルトでも威力の強さを感じますが…
小澤哲也教授
「実際の雷は1億ボルト以上と言われている(500倍)。電流も雷は100万倍くらい。これとは比べものにならない。瞬間的に雷が落ちた周辺の温度は1万度以上にも上がる。人に向かって落雷したら生死に関わるので、落雷に遭うことがないように」
2.「雷が好む危険な場所」
金属製の物を身に着けた人形と着けていない人形が並んでいる実験映像。ここに落雷があるとどちらに落ちると思いますか?正解は…
まず金属製の物を着けていない人形に落雷。その直後着けている人形に落雷。雷の落ちやすさは実は、金属の有無に関係がないのです。
雷が落ちやすいのは、こちら。周囲よりも「高いもの」例えば山頂や鉄塔などです。
また、「開けた場所」、例えばゴルフ場、グラウンド、砂浜などでは人が最も高いものになってしまうので、直撃の危険があります。
一方、こわいのは「直撃」だけではありません。雷雨の際、木のそばで雨宿りをしようと考えたことがある人もいるかもしれません。しかし…
木に落雷した直後、すぐ人に飛び移っています。これを「側撃」と言います。木よりも人の方が電気が流れやすいため起きる現象です。
過去には木の下で雨宿りをして雷の「側撃」に遭い人が亡くなる事故も起きています。
3.「雷から身を守るために」
雷から身を守るために最も安全な場所は、頑丈な建物の中です。その他、車やバス、電車など乗り物の中も安全と言われています。
一方で、どうしても屋内に避難できないという場合はどうしたらよいのでしょうか。
伊藤瞳アナウンサー
「屋外でこの場所は比較的安全と言えます。それは頭上に電線があるから」
電線は雷をひきつける「避雷針」に近い役割をするため人への直撃をまぬかれて、屋外では安全性が高いと言えます。
周りに何もない場合最終手段として覚えておきたいポーズがあります。
伊藤瞳アナウンサー
「雷しゃがみというポーズをご存じでしょうか。まず耳を抑えた状態で姿勢を低くします。この時両足はつけた状態でつま先立ちをします。これが「雷しゃがみ」です」
こうすることで雷の直撃を回避し、近くに落雷した場合でも人体への影響を最小限に抑えられると言われています。
4.「雷ナウキャスト」
一度は耳にしたことがあるかと思いますが、気象庁のホームページから見られる機能です。
活動度1~4まで段階ごとに色分けされていて、雷の激しさや発生する可能性を1時間先まで見ることができます。
7月9日の雷ナウキャストを見ると、広く宮城県は色がついていますが、この日は実際に県内で落雷が多く発生しました。
こうした機能も何もないときに何度か触って慣れておけばいざというときに役立ちます。
4つのキホンを覚えて雷から身を守ってください。