ファイターズ2軍の道内移転表明を受け、札幌圏の自治体では誘致合戦が熱を帯びている。

他球団の最新の2軍球場を取材するとファイターズが目指すビジョンが見えてきた。

栗山CBOが語る「世界一の施設」とは?

「本当の意味で育成できる拠点を北海道に作らせてもらいたい。すべてに対してどこにもない世界一の施設を作るようお願いはします」(北海道日本ハムファイターズ 栗山英樹CBO)

北海道日本ハムファイターズ 栗山英樹CBO
北海道日本ハムファイターズ 栗山英樹CBO
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5000席の屋外球場に練習場や選手寮、住居、商業施設と、まるでボールパークのようなイメージ図に北海道内は湧いている。

すでに情報交換を進めているのが江別市から苫小牧市にかけての6つの自治体で、誘致合戦が盛んに行われている。

提供:H.N.F.
提供:H.N.F.

江別市では署名活動 市民の期待高まる

「大勢の人が集まる江別のやきもの市。市役所の目立つ場所で期成会が署名活動を行っています」(八木隆太郎フィールドキャスター)

「ファイターズを江別に!署動お願いしまーす」

北海道内外の200を超える陶芸家の作品が並ぶ「えべつ やきもの市」。

「えべつ やきもの市」の会場では署名活動
「えべつ やきもの市」の会場では署名活動

江別市の代表的なイベントで毎年2万人が訪れる。

札幌圏の自治体でいち早く誘致へ向けて動いてきた江別市の期成会は、会議やオンラインによる署名活動を続けてきた。

大勢の人が集まる「えべつ やきもの市」
大勢の人が集まる「えべつ やきもの市」

「QRコードで(署名)活動して2週間くらいだが、きょうの段階で大体2000人の署名が集まっている」(江別・北海道日本ハムファイターズ ファーム誘致期成会 下畑英二事務局長)

期成会の積極的な動きに江別市民の機運も高まっている。

江別・北海道日本ハムファイターズ ファーム誘致期成会 下畑英二事務局長
江別・北海道日本ハムファイターズ ファーム誘致期成会 下畑英二事務局長

「随分大きな構想をしているから、それがうまく働けば江別ももっと(盛り上がる)」(江別市民)

「スポーツってすごく感動を与えてくれると思うので、子供にとってもすごくいい影響になると思う」(江別市民)

江別市民の機運も高まっている
江別市民の機運も高まっている

恵庭市も2軍誘致へ向け期成会設立

「ファイターズ2軍来てください」(恵庭市民)

一方、こちらも2軍誘致へ向けて期成会を立ち上げた恵庭市。

市長に移転の要望書を提出するなど、積極的な姿勢を見せている。

「第2のダルビッシュや大谷が生まれる育成施設となると考えるとワクワクする。できる限りのことをしたいとこれまでも話をしている。しっかりと検討していきたい」(恵庭市 原田裕市長)

恵庭市 原田裕市長
恵庭市 原田裕市長

「署名お願いしています。ありがとうございます」

年間100万人が訪れる「道と川の駅花ロードえにわ」で、署名活動を行った。

花ロードえにわで署名活動
花ロードえにわで署名活動

「まずは恵庭の力を集結して熱意を伝えたいと思う」(恵庭市 日本ハムファイターズ新ファーム施設誘致期成会 中川淳一幹事長)

新千歳空港と本拠地エスコンフィールドの間に位置する恵庭市。

恵庭市 日本ハムファイターズ新ファーム施設誘致期成会 中川淳一幹事長
恵庭市 日本ハムファイターズ新ファーム施設誘致期成会 中川淳一幹事長

地の利を活かし新たな街の目玉として、期待が高まっている。

「千歳はラピダスができて北広島は大きな球場ができて、やっぱり恵庭には2軍持ってこないと」

「北広島と同じ規模とまではいかなくても、来てくれると(恵庭も)もっと人が増えていくのかな」(恵庭市民)

地の利を活かし恵庭市民の期待も高まる
地の利を活かし恵庭市民の期待も高まる

ジャイアンツの2軍球場にみる“理想の形”

2軍球場は、北海道にどんな効果をもたらしてくれるのか―

「水族館もあるんですか?」

2025年3月に誕生したジャイアンツの2軍球場を取材すると。

ファイターズが目指すビジョンが見えてきた。

2025年3月に誕生したジャイアンツの2軍球場
2025年3月に誕生したジャイアンツの2軍球場

「こちらが2階のスタンドになります」(読売巨人軍 山本広海さん)

「すごく開放的。山の中に作られた球場という感じですけれど近いですね」(八木隆太郎フィールドキャスター)

「選手とお客さんの距離が近いというのが最大の特徴です」(読売巨人軍 山本広海さん)

2階のスタンドは開放的
2階のスタンドは開放的

東京都心から電車で30分。2025年3月に開業したジャイアンツの2軍球場「ジャイアンツタウンスタジアム」。

座席数は2900席、「選手とファンの近さ」にこだわった最新の2軍球場だ。

試合がない日も入場可能で、散歩がてら長嶋茂雄さんや王貞治さんといったジャイアンツのかつてのスター選手の歴史に触れることもできる。

「選手とファンの近さ」にこだわった最新の2軍球場
「選手とファンの近さ」にこだわった最新の2軍球場

「実はこれよく見てみると坂本選手は61番の背番号をつけている。2軍で練習している時の若いころの姿です」(読売巨人軍 山本さん)

 「確かに細かったり、幼い表情ですけれど、いまやスーパースターたちも2軍の球場でがんばってたんだと」(八木フィールドキャスター)

 「スターになっていくその過程を表現した」(読売巨人軍 山本さん)

写真に込められた、選手育成への思い。外野席にもこだわりが。

スター選手も2軍で奮闘
スター選手も2軍で奮闘

「ここから見る景色も素敵ですね」(八木フィールドキャスター)


「こちらは立ち見席なんですよ。ここからすぐそばにライトの選手がいるわけですよね。この距離感は好きな人にとってはたまらないですよ。黄色いカバーは東京ドームの外野フェンスの高さと同じになります。ということは例えばここで選手がホームランを打ちました。すると東京ドームに行っても自分はホームランが打てるというふうに思う」(読売巨人軍 山本さん)

 「それは選手たちのモチベーションがあがりますね」(八木フィールドキャスター)

外野の立ち見席はライトのすぐそば
外野の立ち見席はライトのすぐそば

球場だけに留まらず、外野席側では、実は水族館の建設が進んでいる。屋上テラスから熱帯魚やアシカを眺めながら野球観戦をすることができるという。

さらに、球場の向かいには飲食施設、周辺は宅地造成が進んでいて、球場周辺の人口は今後2倍の5000人ほどに増えることが想定されている。

水族館は2027年開業(提供:よみうりランド)
水族館は2027年開業(提供:よみうりランド)

ボールパークのような複合的な開発を進めるジャイアンツ。2軍球場の役割と、今後求められることは。

「2軍球場というのは鍛錬の場であり、新しいスターが育っていく場である。これはもうずっと変わらないと思う。野球の試合がない日にはどういうふうに活用していくのか、それが野球なのかスポーツなのかそれ以外なのかいろいろあると思うんですが、スポーツとエンタメみたいな融合した施設になっていくんじゃないかなと考えています」(読売巨人軍 山本さん)

球場周辺の人口は今後2倍に増えることが想定(提供:よみうりランド)
球場周辺の人口は今後2倍に増えることが想定(提供:よみうりランド)

長沼町では斎藤佑樹さんが“ボールパーク構想”を実現中

北広島市の隣、長沼町。ここでも新しい球場づくりが始まっている。

ファイターズOBの斎藤佑樹さん。1年ほど前に少年野球専用の「はらっぱスタジアム」を作り始めました。

外野フェンスの設置や天然芝の敷設、ベンチまで、地元企業などの協力も得ながら自分たちで球場を作っている。背景には、人々が集える場所を作りたいという思いがあった。

少年野球専用の「はらっぱスタジアム」を建設
少年野球専用の「はらっぱスタジアム」を建設

「(はらっぱスタジアムを)ボールパークのようなそんな場所にしたい。エスコンフィールドもそうですけれど、街となって野球だけではない場所を盛り上げていく。野球界がこれから叶えていく課題だと思いますし、人が集ってコミュニティーが生まれてくる」(斎藤佑樹さん)

そんな斎藤さんも現役生活の後半はケガの影響で、2軍の鎌ケ谷での生活が長く続いた。だからこそ2軍球場への特別な思いがある。

自分たちで球場を作っている
自分たちで球場を作っている

「鎌ケ谷に僕最初行ったとき、こんなにタウンになってるんだって思ったのが最初の印象。ここで僕はこれから野球をやっていくんだ、暮らしていくんだと思った。ルーキーから見守っている選手たちが、ファンの方たちと育っていくってすごく素敵。ファイターズらしい他の球場にはない、こんな野球場を作ることができて、さすがファイターズだねって言われるような場所になっていってほしい」(斎藤佑樹さん)

ファイターズ2軍の新たな本拠地、どんな街づくりの拠点になるのだろうか。

斎藤佑樹さん
斎藤佑樹さん
北海道文化放送
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