井村屋が「すまん」を試作開発中

今年も肌寒さを感じる日が増えてきたが、ここで恋しくなる味の一つが中華まんだろう。ふわふわの生地と熱々の具を一緒に頬張ると、何とも言えない美味しさと幸福感に包まれる。

そんな中華まんに、これから意外な“味”が加わるかもしれない。なんと、大手メーカーの「井村屋」が具なしの中華まん、通称「すまん」の試作開発を進めているというのだ。
 

中華まんが恋しくなる季節が来た(画像はイメージ)
中華まんが恋しくなる季節が来た(画像はイメージ)
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きっかけは、井村屋の公式Twitterアカウント(@IMURAYA_DM)を担当する、社内のTwitterチームが、9月14日に投稿したあるつぶやき。

2014年8月1日に「中身の入っていない中華まん、むしろそれは中華まんではないものが大好物な人間も居るので、井村屋さん作ってくれないかなぁ…」という投稿があったことを、秋冬が近づくと思い出すとして、このようにぼやいた。

秋冬の入り口になると思いだすのが、このツイート。
もう6年前ですか……
やっぱり中華まんの具無しVer(つまりガワだけ)が欲しいいいいいい!
オリジナル具材を用意し、楽しみたいいいいいいい!
( ˙-˙)。oO(開発部、このツイート見ていないかな……)

※こちらは9月14日の投稿

この投稿を見た人から、「おー!サバ味噌まんとか麻婆茄子まんとか作れるってことか。それは、ちょっとそそられるな」「好きな具材入れて蒸したい まずチーズとハンバーグかなぁ?」などと、商品化を期待する声が相次いだのだ。

(井村屋の特設サイトより)
(井村屋の特設サイトより)

開発部を巻き込み...商品化に現実味

そして、ここからが早かった。Twitterの反応を見た、井村屋の開発チームが「工場の稼働が本格的になる前でよかった」として、投稿翌日の9月15日に試作品を開発することが決定。

これが試作品。その中身は...(井村屋Twitterより)
これが試作品。その中身は...(井村屋Twitterより)

そして試作品が完成し、9月17日には関係者による試食も行われた。Twitterには、具のない中華まんをレンジで温める画像などが投稿され、その中身などを確認することができる。ちなみに「すまん」という名称は、Twitterチームがノリでそう呼んでいたことに由来しているという。

確かに具がない!(井村屋Twitterより)
確かに具がない!(井村屋Twitterより)

その後も「すまん」についての進捗状況をまとめた特設サイトの立ち上げなど、商品化に向けた動きは一気に進み、9月28日には、井村屋株式会社の社長に試作品を食べてもらうまでに至った。

【具のない中華まん進行状況報告】
開発部「今朝、部長といっしょに社長に報告してきましたよ!」
私「なんて?なんて?なんて?なnntえ?」
開発部「やっぱりうちの生地はうまいなぁって!」
私「そ う だ け ど そ う じ ゃ な い 。」

 

【具のない中華まん進行状況報告-2】
開発「社長にSNSの声も報告しました!もちろんナカノヒトの熱意も!」
私「最後の写真、完全に仕込んだでしょ…」(2回目)
開発「【お客様がどう楽しむのか、報告してねポーズ】とのことです!」
私「よし。明日、水面下の…公開……ふふふ……」

※いずれも9月28日の投稿

9月29日からは商品化の後押しとして、特設サイトで「すまん」のアレンジレシピも募集している。(※募集期間は10月12日まで)

きっかけとなった投稿から、2週間ちょっとでここまで進んだが、発売の可能性はあるのだろうか。そして商品名は本当に「すまん」となるのだろうか。井村屋の開発チームに現状を聞いた。

「いいよね」という話はしていた

ーー「すまん」を求める声は以前からあった?

多くはありませんが、お客さまから生地の美味しさも評価していただき、生地だけでも販売して欲しいというお声はいただいておりました。「すまん」のお願いについては、自社のツイートを見て、来るんじゃないかなぁと思い、準備をしていました


ーー2014年はなぜ商品化とならなかった?

「いいよね」という話はしていましたが、特に本格的には動いていませんでした。


ーーなぜ今回はすぐ動くことになった?

開発者としては、近年開発した「二段発酵製法」により生地が美味しくなった、とお客さまからご意見を頂戴していましたので、生地のみでも販売できるのではと考えていました。そこに今回のツイートがありましたので、すぐにサンプルを送付しました。

デザイン担当の協力で商品化プロジェクトの特設サイトも立ち上げられた
デザイン担当の協力で商品化プロジェクトの特設サイトも立ち上げられた

生地の発酵条件が変わってくる

ーー「すまん」は技術的には簡単に作れるもの?

具がない中華まんとなりますが、具が入っている場合と入っていない場合では生地の発酵条件が変わってきます。発酵温度、湿度など調整が必要となってきます。


ーー普通の中華まんと比べて、こだわりはある?

生地部分で評価の高い、「ゴールドまんシリーズ」の生地を使用しております。「二段発酵製法」を採用していて、もっちりとした食感と風味、うま味のある生地が特徴です。

レンジで温められた「すまん」の試作品(井村屋Twitterより)
レンジで温められた「すまん」の試作品(井村屋Twitterより)

ーー「すまん」の試作を社内はどう受け止めた?

恐らくですが、好意的に受け止めていただいていると思います。


ーー発売の可能性は?商品名は「すまん」になる?

どうなんでしょう。ツイッター担当がツイッターで状況報告しますので、ご期待ください。


開発チームによると「すまん」はもっちりとした食感や生地のうま味が楽しめるようだ。ただ、発売されるかはまだ分からないとのことなので、Twitterチームにも現状を聞いた。

「どういう着地になるか、まだ不透明」

ーー「すまん」の試作が進んでるが、心境は?

ワクワクドキドキの一言です!


ーー発売の可能性について、分かることはある?

どういう着地になるか、まだ不透明です。色々とクリアしなければいけない課題もあると思いますので…ただ、コロナ禍といった状況を踏まえても、ご家庭で楽しむ一つの選択肢にもなると思いますので、そういったお手伝いに関われればとも思います。


ーーもしも発売されたら、どう食べてほしい?

アレをつけたかった、ソレをはさみたかった、アレに入れたかった...それはもう自由です!

試作品ではさまざまなソースに付ける様子も(井村屋Twitterより)
試作品ではさまざまなソースに付ける様子も(井村屋Twitterより)

井村屋によると「すまん」の今後はまだ分からない部分が多く、発売するかどうかの判断時期も含めて、Twitterで知らせていくという。

中華まんは、肉まん、ピザまん、あんまんなど、多くの種類を食べ比べられるのも魅力の一つ。自分だけの味を挟んで楽しめる選択肢があってもいいのかもしれない。
 

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プライムオンライン編集部
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