プレスリリース配信元:オデッセイ
人事領域に特化した IT コンサルティング事業を手掛ける 株式会社オデッセイ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:秋葉 尊、以下「オデッセイ」)は、従業員1,000名以上または年商500億円以上の国内企業に勤務する人事・経営企画責任者500名を対象に、「人的資本情報の可視化・開示の取り組み状況」調査(調査期間:2025年5月23日~26日)を実施しました。
有価証券報告書への人的資本情報開示義務化から2年。この開示の動きは非上場企業にも広がり、調査対象企業全体での開示比率は67%に達するなど、開示は「対応すべき義務」から「企業価値向上のための戦略」へと着実に移行しています。
一方で、 「何を開示し、どう経営成果と結び付けるか」という戦略課題と、散在する人事データの統合や可視化といった実務課題が依然としてボトルネックであることが判明しました。このような状況を反映し、人的資本経営に関する企業の取り組みは、“義務としての開示”のフェーズを越え、投資対効果(ROI)を可視化する“実践フェーズ”へと移行しつつあります。
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【人的資本情報の可視化・開示の取り組み状況に関する調査概要】
調査方法 : WEBアンケート形式
調査地域 : 全国
調査期間 : 2025年5月23 日(金)~2025年5月26日(月)
調査対象 : 全国の従業員数1000以上もしくは、年商500億円以上の企業で働く、人事関係者、
経営企画関係者500人
※ 本リリースに関する内容をご掲載の際は、必ず「(株)オデッセイ調べ」と明記してください。
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調査結果概要
1. ≪開示の状況≫人的資本開示は「義務」から「戦略」へ。非上場企業にも広がる情報開示の潮流
人的資本の情報開示は、単なる義務対応から、企業価値向上を目指すための戦略的な活動へと変化しています。調査対象企業全体で開示企業が67%(昨年比+9pt)に増加する中、義務項目以外を自主的に開示する企業も46%(同+9pt)まで拡大しています。この動きは非上場企業にも波及しており、人的資本情報の開示が「対応すべき義務」から「企業価値向上のための戦略的取り組み」へと、新たなフェーズに移行しつつある様子がうかがえます。
2. ≪管理レベル≫独自指標に苦戦する中、国際規格「ISO30414」が実践的な羅針盤に
開示が進む一方、指標化・管理レベルでは課題もみられます。独自に重要指標を設定・管理できている企業は33%(同+3pt)に留まります。一方で国際規格であるISO30414 等のガイドラインを参考にする企業が全体で27%(同+6pt)、上場企業では31%(同+7pt)と顕著な増加を見せています。さらに、上場企業の76%がISO30414 を参考にしている、または参考にしたいと回答しており、多くの企業が自社の取り組みを客観的に把握し、方向性を定めるための「羅針盤」として国際規格の活用を推進している様子がうかがえます。
3. <開示・活用の課題>開示・活用を阻む二つの課題は「戦略」と「データ基盤」
開示・活用を進める上での課題は、昨年に続き「戦略面」と「実務・システム面」の二つに集約されています。
課題1.(戦略):開示項目の選定(上場企業の37%, 同+6pt で最多)
「どの情報を管理・開示すべきか決められない」という悩みが最も多く、そのうちの56%が「時間はかかっても自社で管理すべき項目を決めたい」と回答。戦略なき開示を避けたいという企業の真摯な姿勢が確認できます。
課題2.(データ基盤):人事データの一元管理(上場企業の30%,同+5pt)
「人事関連データの一元管理ができていない」ことが2 番目の課題となっており、その解決策として55%が統合型人事システムの導入によるデータ基盤の整備を具体的に検討しています。
4. ≪可視化の状況≫「可視化」は進むが7割が作業に負担を感じている。データ活用の前段階に課題
人的資本の「可視化」は着実に進展しており、上場企業においては73%(昨年比+2pt)が実現しています。一方、その実行プロセスには依然として大きなハードルが残ります。可視化できている上場企業のうち70%が「作業に手間がかかっている」と回答しており、多くの企業でデータ収集・統合・加工といった実務が大きな負担となっている実態が明らかになりました。これは、データを活用した戦略的人事施策に踏み出すうえで、前提となる準備作業がボトルネックになっている実態を示唆しています。
5. ≪有価証券報告書への記載≫有価証券報告書の開示義務、7割超が「負担に感じる」と回答。効率化・自動化ニーズが浮き彫りに
2023 年3 月期より義務化された有価証券報告書への記載について、集計を完全に自動化できている上場企業はわずか25%に留まり、60%が何らかの手作業に依存している実態が明らかになりました。この非効率なプロセスを背景に、71%もの企業がその集計作業を「負担に感じる」と回答しています。
法令遵守という待ったなしの状況下で、多くの企業が属人的な手作業での対応を余儀なくされ、人事部門や経営企画部門の貴重なリソースを圧迫しているのが現状です。この定型業務のプロセス効率化は、単なる工数削減の問題ではなく、企業がより高度な人材戦略へ踏み出すための、喫緊の経営課題と言えます。
6. ≪重視する機能≫企業の視線は「経営効果の検証」へ 。上場企業はシステムに「事業成果との連動性」を最も期待
人的資本経営の目的は、その経営効果を検証するフェーズへとシフトしています。上場企業の83%が、人的資本への投資効果を財務・非財務情報と連携して確認したいと考えているものの、現在システムで実現できているのは33%に過ぎず、理想と現実の間に大きなギャップが存在します。この課題を反映し、上場企業が人的資本情報を管理するシステムに対し最も重視する機能は、「経営成果を財務・非財務情報で可視化できる仕組み」(42%)と回答しており、単なる人事データ管理から「経営貢献の可視化」へとニーズが高度化していることが明確になりました。
7. ≪人的資本の活用効果≫期待する効果は、まず「社内変革」。生産性向上や採用の効率化が上位に
人的資本情報の活用によって企業が最も期待する効果は、「生産性の向上」(35%)、「採用効率の向上」(30%)、「後継者育成・配置の最適化」(30%)がトップ3 を占めました。一方で、「投資家からの評価向上」は11%と最下位に留まっています。この結果は、多くの企業が人的資本経営を、まず自社の事業基盤を強化するための「内なる変革」のエンジンとして捉えていることを示しており、足元の経営課題解決に直結する効果を優先する現実的な姿勢がうかがえます。
【総括】
本調査からは、人的資本経営に関する企業の取り組みが「開示の時代」を終え、成果、すなわち投資対効果(ROI)を問われる「実践の時代」へと突入した姿が鮮明に浮かび上がります。開示の一般化が進む一方で、多くの企業が「戦略なき開示は避けたい」という理想と、「何を開示すべきか決められない」「データ基盤が未整備で手作業に追われる」という厳しい現実との間で、大きな壁に直面しています。特に、義務化された有価証券報告書の作成負担は、企業の生産性を著しく阻害する喫緊の課題です。このような中、企業の視線は、投資家評価といった外部の目線よりも、生産性向上など「事業に直結する内なる変革」へと向けられています。これらの課題を克服し、人的資本を真の企業価値向上に繋げるためには、経営と一体となった戦略策定と、それを支える効率的なデータ活用基盤の構築が、今後の企業競争力を左右する不可欠な要素となるでしょう。
1.≪開示の状況≫人的資本開示は「義務」から「戦略」へ。非上場企業にも広がる情報開示の潮流
全体的に開示は進み企業全体でも昨年比9pt 増の67%が開示、上場企業では7pt 増の85%が開示と着実に進んでいる。有価証券報告書義務化項目以外も開示している企業も約46%に拡大(昨年比+9 ポイント)。
2.≪管理レベル≫独自指標に苦戦する中、国際規格「ISO30414」が実践的な羅針盤に。
独自に重要指標を設定・管理できている企業は約33%(同+3pt) に留まる。一方でISO30414等のガイドラインを参考にする企業が約27%(同+6pt)、上場企業でも約31%(同+7pt)と増加傾向。また、ISO30414については、「参考にしている」または「参考にしたい」と回答している上場企業は約76%(前年比5pt増)で、依然信頼が厚い。
3.<開示・活用の課題>開示・活用を阻む二つの課題は「戦略」と「データ基盤」。
開示・活用の課題は、昨年に続き「自社としてどの人的資本情報を管理/開示すべきか決められないこと」が最多。上場企業では37%,で昨年比6pt増。この課題を選んだ上場企業の内、約56%が「時間はかかっても自社で管理すべき項目を決めたい」と回答。
続いて2番目に多かった課題も昨年に続き2位の「人事関連データが複数システムに分散しており一元管理ができないこと」。上場企業では約30%が挙げている。
この課題を上げた企業の約55%が統合型人事システムの導入によるデータ基盤の整備により解決しようと考えている。
4.≪可視化の状況≫「可視化」は進むが7割が作業に負担を感じている。データ活用の前段階に課題
「可視化」については、上場企業においては約約73%(昨年比+2pt)が何らかの可視化を実現。適時可視化できている上場企業は約40%。その可視化できている上場企業の70%が「作業に手間がかかっている」と回答。
5.≪有価証券報告書への記載≫有価証券報告書の開示義務、7割超が「負担に感じる」と回答。効率化・自動化ニーズが浮き彫りに。
有価証券報告書への記載について、上場企業の約60%が何らかの手作業で対応。義務化項目を自動的に集計できている企業は約25%に留まる。記載している上場企業の約71%がその集計作業に「負担に感じている」と回答。
6.≪重視する機能≫企業の視線は「経営効果の検証」へ 。上場企業はシステムに「事業成果との連動性」を最も期待
上場企業の約83%が、人的資本を活用した成果を定量的に把握したいと考えている。しかし、システムで自動的に把握できている企業は約33%に留まる。また上場企業が人的資本を管理・可視化システムで最も重視する機能は「経営成果を財務・非財務情報で可視化できる仕組み」(約42%)となり「経営貢献の可視化」のニーズが高い。
7.≪人的資本の活用効果≫期待する効果は、まず「社内変革」。生産性向上や採用の効率化が上位に
人的資本情報の活用によって企業が最も期待する効果は、「生産性の向上」(約35%)、「採用効率の向上」(約30%)、「後継者育成・配置の最適化」(約30%)がトップ3。一方で、「投資家からの評価向上」は約11%と最下位に留まる。
【株式会社オデッセイ】
■本社 :東京都千代田区霞が関3丁目2番5号 霞が関ビルディング17階
■社名 :株式会社オデッセイ
■代表者 :代表取締役社長 秋葉 尊
■URL :http://www.odyssey-net.jp/
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