プレスリリース配信元:株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン
肺がん支援団体の一般社団法人アライアンス・フォー・ラング・キャンサーと共同調査
従来の抗がん剤よりも治療効果が高い傾向にある「分子標的薬」。分子標的薬の使用に必要な遺伝子検査の実態について、急性期病院の経営支援を行う株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(代表取締役社長:渡辺幸子、以下GHC ※1)および肺がんの支援団体である一般社団法人アライアンス・フォー・ラング・キャンサー(代表:長谷川一男、以下A4LC ※2)は7月1日、医療ビッグデータを用いた共同調査の結果(2025年度版白書「非小細胞肺癌患者におけるドライバー遺伝子検査実態調査」)を発表しました。調査対象となった300病院の肺がん患者のデータを分析したところ、近年、複数の遺伝子検査を一度に実施できる多遺伝子検査(マルチプレックス・コンパニオン診断検査)の実施率が急増していることが分かりました(調査結果は以下かこちら)。
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2025年度版「白書」発表
分子標的薬は、がんの原因となる遺伝子変異(ドライバー遺伝子)に直接作用する薬剤です。がんの死亡者数が最も多い肺がん、中でもその大半を占める非小細胞肺がんは2025年6月までに11種類のドライバー遺伝子変異に対する薬剤が23剤承認されています。分子標的薬は従来の殺細胞性の抗がん剤と比べ、効果も高い傾向にあります。ただ、これら薬剤を使用するためには「コンパニオン診断検査」を行い、対応したドライバー遺伝子変異を検出することが不可欠です。
コンパニオン診断検査は、数年前までは1種類の遺伝子しか検査できなかったのですが近年、1回の検査で複数種類の遺伝子(マルチプレックス)を調べることができるようになり、これらが保険適用されています。過去に受けた遺伝子検査で自分に適合する分子標的薬が見つからなかった患者も、マルチプレックスを受けたら自分に適する薬が見つかるかもしれません。こうした問題意識からGHCとA4LCは2023年に白書『非小細胞肺癌患者における ドライバー遺伝子検査実態調査―全国200病院のDPCデータ予備的解析結果―』を発表しました。今回、2025年度版となる同白書の継続調査を実施(2025年度版の白書は以下かこちら)。直近の分子標的薬の使用に必要な遺伝子検査の実態をデータ分析しました。
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2023年から7種の検査項目が1/3程度に
新たな調査は、GHCが保有する大規模病院の診療内容が分かる「DPCデータ ※3」を用いました。調査の分析対象は300病院24,047人の肺がん患者のデータです。
分析結果によると、2019年初旬は3種(図表の黄緑部分)の検査項目数が一般的でしたが、2022年に5種(図表の水色部分)、2023年に7種(図表の紫色部分)の検査項目が増えています。直近では7種の検査項目が検査全体の3分の1程度に達しています。分子標的薬およびそのマルチプレックス・コンパニオン診断検査の充実化が寄与していると考えられます。
コンパニオン診断検査の推移
そのほか白書では、年代別のコンパニオン診断検査実施率の推移、遺伝子検査の項目別実施率の推移、遺伝子変異検査組み合わせ別の患者割合推移なども報告しています。また、初回治療レジメン別の患者割合の推移など、どんな患者がどのような抗がん剤治療を行ったかまでを深掘りした調査も行いました。
※1:株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン
医師、看護師、薬剤師など医療資格者が在籍する急性期病院の経営コンサルティングファーム。最大1000病院の診療データをベースに、医療と経営の質向上を目指したコンサルティングおよび経営分析システム「病院ダッシュボードχ(カイ)」を提供する。累計クライアント数は700病院超。日本病院会と業務提携して中小出来高病院向け経営分析レポート「JHAstis(ジャスティス)」の執筆・配信を担当する。がん診療拠点病院の約半数が参加する「CQI研究会」の事務局や米メイヨークリニックとの共同研究など国内外の医療機関等との研究事業も精力的に行う。財務省の「財政制度等審議会 財政制度分科会」の政策決定や日本集中治療医学会の政策提言に用いるデータ分析を手がけたほか、「コロナ危機下の医療提供体制と医療機関の経営問題についての研究会」では委員も務めて、今後の医療提供体制に向けて極めて重要なデータ分析を担当した。「アキよしかわの『ポストコロナの時代の病院経営』」(日経メディカル・オンラインで2020~2021年連載)など寄稿のほか、日本放送協会などテレビ、日本経済新聞など新聞、「週刊ダイヤモンド」や「週刊東洋経済」など取材対応多数。主な著書・論文は『医療崩壊の真実』(エムディーエヌコーポレーション)、『日米がん格差』(講談社)、“Geographic variation in surgical outcomes and cost between the United States and Japan” American Journal of Managed Care (2016 Sep;22(9):600-7)、“Taking the leap to make bundled payments work Incentives drive realities in American, Japanese healthcare systems” Medical Group Management Association (2015 Sep; Vol. 1.)、“Cancer in the Time of COVID-19 in Japan: Collateral Damage” Collateral Global (2021)など。
※2:一般社団法人アライアンス・フォー・ラング・キャンサー
非営利活動法人肺がん患者会ワンステップ兼肺がん患者連絡会代表である長谷川一男、元認定非営利活動法人キャンサーネットジャパン事務長である柳澤昭浩、がん情報サイト「オンコロ」設立者である可知 健太が、患者会、アドボケート、情報メディアというそれぞれの立場では実現困難であることを実現するために2021年設立。
※3:DPCデータ
包括支払い方式で入院医療費を請求する「DPC(診療群分類別包括払い)制度」の対象病院が作成を義務付けられているデータ。DPC制度は、従来型の出来高制度と比較して、1日当たりの報酬が決まっているため、過剰な診療の抑制や必要なコスト削減を促すことが期待できる。主に病床数が多く、重症患者を診療する急性期病院の多くが導入している。対象病院は1786病院(2024年6月時点)。
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