イランへの攻撃を正当化するトランプ大統領。
広島と長崎への原爆投下を例に挙げる発言がありました。

アメリカトランプ大統領による驚きの発言が飛び出したのは、NATO(北大西洋条約機構)のルッテ事務総長との会談でのことでした。

トランプ大統領:
あの攻撃が戦争を終結させたのだ。ヒロシマも例えにはしたくないし、ナガサキも例えにしたくはないが、本質的に同じことだった。

さらに、このあとに行われた記者会見では、原爆投下を念頭に「ヒロシマとナガサキを見れば分かるが、(原爆投下が)戦争を終わらせた。今回は違う方法で終結させたが、非常に壊滅的だった」と発言。

先週末にアメリカ軍が行ったイランの核施設への攻撃が“12日間戦争”の終結につながったと強調したのです。

原爆投下を正当化する姿勢を被爆者団体は強い口調で批判しました。

広島県被団協・箕牧智之理事長:
21万人を原爆で失ったことを深く考えるような大統領ではない。これからもそういうことをやりかねない。

長崎県の被爆者も憤りの声を上げています。

長崎県の被爆者・竹下芙美さん:
まずそれにすごく腹がたちましたね。私たち被爆者にとって原爆っていうのは、(一般的な爆弾と違い)生き残った人も死ぬまで放射能の苦しみを抱えながら生きていくわけなんですよ。

長崎県の被爆者・山川剛さん:
彼の言っていることは、どこから見ても事実には反していると思います。(こうした発言に対し)だんだん慣れてきて、「また言っている」って批判をしなくなった時が一番声をあげなくなった時が本当の危機だと思うんです。

欧米メディアがアメリカ情報機関の初期分析として、「核施設への攻撃は中核部分の破壊には至っていない」と報じたことによる疑念を払拭しようとしたとみられるトランプ大統領の発言。

林官房長官は「原爆投下は大変多くの尊い命を奪い、人道上、極めて遺憾な事態をもたらしたものと認識している」などとしたうえで、「一般的に歴史的な事象に関する評価については専門家等により議論されるべきものと考えております」と答えるにとどめました。

一方、核施設を攻撃されたイランの国会では、議長が「IAEA(国際原子力機関)との協力を停止し、平和的な核開発計画をより速いペースで進めていく」と発言。
すると議場には「神は偉大なり。アメリカとイスラエルに死を」という叫びがこだましました。