強い日差しが照り付けるイギリスのロンドン。
人々が重い足取りで歩いていた場所は線路の上です。

現地メディアによると、21日、ロンドンにある「ラフバラ・ジャンクション駅」近くで列車が故障した影響により、周辺を走っていた全列車の運行が停止。

合わせて3カ所で列車が立ち往生し、乗客約1800人が取り残されたといいます。

この日のロンドンの最高気温は34度。
灼熱の暑さの中で冷房が止まった車内に閉じ込められた乗客からは、「オーブンでゆっくり“加熱”されている気分だ」「まさに“悪夢”です」など悲鳴が上がりました。

灼熱の車内に約2時間閉じ込められた乗客たち。

その後、鉄道会社が避難を選択したことから、乗客は強い日差しが照り付ける線路上を歩くことを余儀なくされたのです。

撮影者も前を行く人々もジャリジャリと音を立てながら歩きづらい砂利の上を進んでいきます。
職員に声をかけられながら進んだのち、無事駅に着いたのか手を振っていました。
中には荷物や乳幼児を抱えたまま避難せざるを得なかった乗客もいたといいます。

こうして何とか避難が完了した立ち往生列車。
トラブルのさなかには、思わぬ救いの手も差し伸べられていました。

列車が止まった高架の下で何やら動いている人影。
何とフードデリバリーの配達員が列車に向かって飲み物のボトルを投げ込んでいたのです。

この配達員、野球の心得があるのか列車のドアから手を伸ばす乗客に向かって見事な“ストライク投球”で飲み物をデリバリー。
乗客がキャッチすると大歓声が上がります。

配達員とピッチャーの二刀流で乗客たちの救世主となっていました。

鉄道会社はその後、乗客らに謝罪。
一方で、しばらくの間、暑い車内に乗客を残したことについては、「救出に移るまでの間、最も安全な場所は車内だと判断した」と説明しています。