子供の特性を把握し、就学に向けた支援をより強化しようという「5歳児健診」のモデル事業が26日、福岡市で始まりました。
声をそろえて元気いっぱいに歌う子供たち。
福岡市中央区の幼稚園に通う5歳児、いわゆる「年中組」の子供たちです。
◆担任の先生
「この丸をハサミで切ってほしいと思います。いいですか?」
ハサミを使って紙を切ったりクレヨンで顔を描いたり、思い思いに七夕飾りを作ります。
自ら考え、夢中で手を動かす子供たち。
5歳になる時期にはどんなことができるようになるのでしょうか?
◆円龍幼稚園 年中組担任 小林春菜 教諭
「言葉の数とかコミュニケーションも上手にできるようになって、大人と変わらないくらい対等に話せるようになってきて、友達同士の関わりが増えてきたり、ルールのあるゲーム遊びもできるようになってくる」
こうした5歳の子供たちを対象に、福岡市は26日から発達の様子を確認する5歳児健診のモデル事業を始めました。
これまで福岡市は乳幼児向けに生後4か月、10か月、1歳半、3歳で健診を行っていましたが、発達の遅れなどに気づきやすくなる5歳で、26日に新たに始めた健診を受けてもらうことで子供の特性を把握し、その子に応じた必要な支援につなげたい考えです。
◆5歳児を育てる母親
「不安材料があるのであれば早めに5歳児健診が役立つと思うので、それに関しては賛成です。3歳児健診が終わって小学校まで何もないじゃないですか。順調に成長しているか気になるので、(5歳児健診が)あると安心ですね」
5歳児健診では問診や身体測定のほか、専門家が集団で遊ぶ様子を観察するなどし、発達の状況や社会性などを確認します。
◆福岡市こども健やか課 古江健樹課長
「活動が活発になってくる時期なので、就学後の集団生活を含めたこの時期の子育ての悩みや不安を相談したり、その子に応じた就学までの流れを知ってもらう機会になれば」
5歳児健診は希望者のみの申し込み制で、26日から来年3月までのあわせて12回、市内3カ所の保健福祉センターで実施される予定です。
市は今後、保護者の意見などを聞きながら事業の拡大も検討していく方針です。
5歳児健診は各自治体が任意で行っていますが、国は全国の自治体での実施を目指して健診費用を助成するなど支援を強化していて、福岡県内ではすでに宗像市、大野城市、香春町など6つの自治体で実施されています。
こども家庭庁によりますと、5歳児健診は発達障害などの早期発見も目的にしていて、特別な配慮が必要な子どもに対して早い段階で介入することでスムーズに学校生活を送れるよう支援につなげることが狙いです。
ただ、5歳児健診が広がることで子供の支援が必要なケースも同時に増えていけば、地域のサポート体制をどう整えていくのかが課題になりそうです。