気象庁は23日、新燃岳の噴火警戒レベルを「3」に引き上げました。宮崎県高原町の観光事業者からは、噴火による被害は少ないものの、夏の観光シーズンへの影響を懸念する声が聞かれました。
気象庁は6月22日に噴火した新燃岳について、周辺の火山ガスの放出量が急増していることなどから、23日、噴火警戒レベルを火口周辺規制の「2」から、入山規制の「3」に引き上げました。
キャンプや屋外アクティビティーを楽しめる高原町の観光スポット皇子原公園。施設は、降灰の影響がなかったことや新燃岳の火口から約7キロ離れていて、規制の対象ではないことから、通常営業を行っています。
2011年の新燃岳噴火以降、ヘルメットや避難壕を設置し、噴火を想定した避難訓練も行っていますが、噴火警戒レベルが引き上げられたことで、風評被害が起きることを懸念しています。
(奥霧島温泉郷 内村雅樹代表)
「直接被害はなかったが、今後のことは分からないから心配。うちの場合は夏がメインのシーズンなので、それに向けて頑張らないといけないので不安はある」
こちらは、高原町のアウトドア用品店。登山客の減少が懸念されるものの、キャンプ用品を中心に扱うこちらの店舗は「そこまで影響はない」と見ています。
(ビッグハウス 久徳博史専務)
「登山よりかはキャンプがメイン。特段問題はなかった。いまのところは、通常運転で問題ないんじゃないかと思っている」
高原町によりますと、去年、町内を訪れた観光客は約84万人。最も多いのは8月で約5万6千人でした。毎年7月から10月にかけては観光客が増加するタイミングです。
(高原町産業創生課 森山業課長)
「国立公園にも面しているし、避暑地的な場所でもあるので、(これから)夏休みにむけた観光PRに力を入れていく時期。観光への影響というのは一番が風評被害と思っているので、観光事業者に影響がなければなというところを一番危惧している」
高原町では、「火山活動を注視しつつ、温泉や宿泊などの観光誘客については差し迫った危険がない限りは通常通り行いたい」としています。
新燃岳の火口直下を震源とする火山性地震の回数は、25日午後4時までの24時間で461回でした。
また 24日観測された火山ガス・二酸化硫黄の1日あたりの放出量は2100トンでした。どちらも、前の日より低い値となっていますが、気象庁によりますと、火山活動は依然として活発な状態が続いているということです。
気象庁は、火口から概ね3キロの範囲で大きな噴石などに警戒するよう呼びかけています。