今、ある特定の層に向けられたフェイク動画がネット上に出回る事態が発生。

その1つが「あと60日このままだとあなたが一生懸命にためてきた大切なお金がただの紙切れになるかもしれないんです。これは脅しではありません」という音声が流れ、画面の下には「高齢者の99%が知らない!」と書かれた動画。
近々、金融機関の預金口座が使えなくなるという嘘の内容を紹介しています。

YouTubeに上げられている別の動画も、ゆうちょ銀行などを名指ししたうえで、7月から預金が簡単に引き出せなくなると不安をあおる内容になっています。

こうした、ゆうちょ銀行のルール改正をうたった動画は複数出回っていて、中には再生回数が25万回を超えるものも存在しています。

この事態にゆうちょ銀行側は23日、ホームページ上で「このような事実はない」と注意を促しました。

こうしたフェイク動画騒動は、ゆうちょ銀行の他にも及んでいます。

“7月から高齢者がバスを利用する際に無料になる”という動画も。
もちろんこんな事実は存在せず、福岡市や宮城・仙台市など、複数の自治体がホームページ上で否定しています。

こうしたフェイク動画には、いくつか共通する特徴が存在します。

1つ目が、動画内やタイトルのどこかに「高齢者」や「65歳以上」という文言が入り、シニア層の関心を引こうとする点。

もう1つは、動画内に浮かび上がる“謎の違和感”です。
最初に紹介した映像は、一見、日本の郵便局のようにも見えますが、背景に映る文字は日本語ではありません。
別の動画を見ると、背景の額縁には郵便局で使われている文字やマークではなく「POST OFFICE」という英語だけが書かれています。

そして、日本語のテロップやナレーションに誤りがあり、どこか雑っぽい感じも受けるこのフェイク動画。

その正体について、ITジャーナリスト・三上洋さんは「人間の顔もそうですし、周りの背景も生成AIで作られたものであることは明白。彼ら(制作者)の目的はお金です。高齢者の方が見たらびっくりするような、聞いたことのない内容でたくさん再生させる」と話します。

街の人からは「だまされちゃいますよね、絶対これ。高齢者は絶対だまされますよ」「このおじさんに言われてると思ったら信じちゃうよね」などの声が聞かれました。

ITジャーナリスト・三上洋さんは「対策としては、運営元、チャンネルの信頼度を確かめてください。(例えば)公的な機関であるかどうか」と話しています。