予約時間をとっくに過ぎたにもかかわらず、客の姿がないテーブル。

深刻化する飲食店のドタキャン問題かと思いきや実は、新たな詐欺の手口の可能性が。

今、都内の飲食店で“要注意”とされる男の名は“古賀”と名乗る男。

24日、「イット!」が向かったのは東京・世田谷区の住宅街にあるフレンチレストラン。

被害に遭うきっかけは、6月20日にかかってきた“貸し切り予約”の電話でした。

アトリエシュシュ・野村裕亮シェフ:
駒沢高校の“古賀”と名乗る男から問い合わせの電話があって、「あした学校教員の親睦会をやりたいので、店を貸し切りにできるか」と。

店のすぐそばにある駒沢大学高校の職員“古賀”と名乗った男は、翌日の予約当日になりあるお願いを…。

「急に当日の14時。『シャトー・オー・ブリオンの1989年ものを4本用意してほしい』って急に言われて、1本うちの仕入れで24万円とかそれくらい。それを4本ってなると100万円近くの仕入れになるので、怪しいと思って」と話す野村シェフ。

突然の「24万円の高級ワインを4本用意してほしい」との要求に、当日では無理と断りましたが…。

アトリエシュシュ・野村裕亮シェフ:
そしたら古賀が『私の前任の先生で取引がある酒屋さんがあるので、紹介するのでそこから取ってください』と。さすがに今日は銀行に行けない(振り込めない)ので、その旨を古賀に伝えたらそこから連絡が来なくなって。

予約時間を過ぎても予約した15人は現れず、古賀本人に連絡しても電話は拒否されLINEも既読がつかなかったといいます。

野村シェフは「(被害額は)15万円の消費税なので、16万5000円。学校名がすぐ近くの学校なので、そこは全く疑わなかった」といいます。

「イット!」は古賀が名乗った高校を取材しましたが、古賀という職員はいませんでした。

アトリエシュシュ・野村裕亮シェフ:
常連客が仲間を連れてきてくれたり、食材はなんとかはけることができた。

さらに取材を進めると、SNSには、古賀から予約を受け“ドタキャン被害”を受けたと訴える飲食店が東京都内に続々と。

八王子市のビストロでは…。

GURECO・オーナーシェフ:
「職員」と名乗っていた。(Q.学校名は?)「八王子実践高校(※実際には在籍せず)」予約当日の午前中に「そちらのお店にシャトー・オー・ブリオンの82年というワインはありますか?」と。「学校の常務が会に必要だと言うので」と。

この古賀を名乗る男に狙われた店には共通点がありました。

それが「近くに学校がある」「隠れ家的な小規模な店」で「普段は高額なワインを扱っていない」こと。

古賀の狙いについて店からは「ワインの購入代金を振り込ませることだった」との声が。

GURECO・オーナーシェフ:
詐欺の目的が高額なワインを購入させることに全く気づいていなかった。

飲食店に対し古賀は「予約当日になる」と慌てたように高級ワインを注文。
急な発注に店が無理だと断ると、自分が知っているという酒店のLINEアカウントを紹介し、この店からワインを発注し代金を立て替えてほしいと依頼。

しかし「イット!」の取材の結果、この古賀が紹介した酒店は実在しない架空のものだったことが発覚。

GURECO・オーナーシェフは「もしワインを代理購入してしまっていたら、当然、品物なんて届くわけがないし…」と話しました。

一方、別の飲食店は「ワインの注文をしてしまった」といいます。

被害にあった別の飲食店は「実際に24万円のワインを4本発注したが、ワインが届かない」と話し、96万円もの被害を受けたといいます。

「イット!」では古賀を直撃すべく、被害に遭った店舗の協力を得て連絡を試みましたが、電話は通じませんでした。

世田谷区の店では、ワインを購入させようとする手口は詐欺ではないかと警視庁に被害届を提出。
犯罪ジャーナリスト・多田文明さんは「(犯行の)ストーリーがうまくできている。準備するのは組織的なグループがやっている」と組織的な犯行の可能性を指摘しました。