投開票日と見込まれる7月20日まで1カ月となった参議院選挙岩手選挙区では、国民民主党県連が独自候補の擁立を見送ったことで、戦いの構図がほぼ固まり、前哨戦が熱を帯びています。
これまでに参院選岩手選挙区への立候補を表明しているのは、立憲民主党の現職で2期目を目指す横澤高徳氏(53)、自民党の元議員で4回目の当選を目指す平野達男氏(71)、参政党の新人で会社員の及川泰輔氏(46)の3人です。
立憲民主党の現職・横澤氏は2025年1月に出馬を表明しました。
立憲・現 横澤高徳氏
「生涯安心して暮らせる日本を岩手からつくっていきたい。1期目の活動をさらに前進させていきたい、この思いで2期目の挑戦を決意した」
横澤氏は矢巾町出身の53歳、バンクーバーパラリンピックアルペンスキーの日本代表で、6年前の参院選では野党4党の統一候補として初当選しました。
5月に開かれた立憲県連の定期大会には党本部の小川淳也幹事長や達増知事が出席、連合岩手や自治労県本部などの推薦団体も顔をそろえ必勝を誓いました。
2期目を目指す横澤氏は、6月14日も盛岡市の街頭で物価高騰対策や福祉・社会保障の充実を訴えるなど、浸透拡大に向けた動きを本格化させています。
立憲・現 横澤高徳氏
「生活必需品の食料品の消費税を0%にし皆さんの家計を支えていく。地方の経済を支えていく物価高騰対策を進めていきたい」
今回の参院選を巡っては国民民主党県連が当初独自候補の擁立を検討していましたが、6月14日の常任幹事会で見送りを決めました。
国民民主党県連 軽石義則代表
「国民民主党として公認候補を見送って、今回は比例を中心に党勢拡大を進める」
国民県連では選挙区について他党の候補は推薦しない方針で、党員やサポーターには「反自民・非共産」の立場での投票を呼びかける考えを示しました。
一方、横澤氏や立憲県連の幹部はその2日後、国民県連や共産・社民の県組織の代表を訪ね参院選に向けて協力を求めました。
立憲民主党県連 岩渕誠幹事長
「自公を過半数割れに追い込もうという思いを共有できたのではないか」
今後は野党間の連携がどのように構築されていくのかが注目されます。
こうした野党の動きに対し、自民党の元議員・平野達男氏は新年早々、出馬を表明し雪辱を誓っています。
自民・元 平野達男氏
「これまでの国会議員としての様々な活動の経験と知識、そういったものを総動員して国政で岩手のために仕事をさせていただきたい」
平野氏は北上市出身の71歳、2001年の参院選に当時の自由党から出馬して初当選し、民主党政権では初代・復興大臣を務めました。
その後、自民党に鞍替えし4期目を目指しましたが、6年前の選挙で新人だった横澤氏に1万5000票余りの差で敗れました。
平野氏は今回が最後の出馬だとしていて、これまでに公明党のほか、県医師連盟、県農協政治連盟などから推薦を受けています。
6月7日、盛岡市で開かれた総決起大会には党本部から森山裕幹事長が駆けつけました。
自民党 森山裕幹事長
「災害にしっかり備えのできる国にしなければならない。その面から見ても平野さんという政治家はどうしてもみなさんの力をいただかなければならない」
この場で平野氏は消費税は社会保障の重要な財源だと強調し、税率の引き下げや廃止を訴える野党の主張に対して自身の考えを語りました。
自民・元 平野達男氏
「大切な消費税を下げて適切な財源が適用できないということは、これは決してやってはいけないことだと私も強く思っている」
また平野氏は農林水産省の官僚だった経験を生かし、コメの価格変動に対応する農家の所得補償制度を提案したいとしているほか、東京一極集中の是正などを公約に掲げています。
参政・新 及川泰輔氏
「国民の生命を守る、財産を守る、国土を守る、私たち日本人・子どもの未来も守る」
参政党の及川氏は2025年3月に出馬を表明しました。
及川氏は宮城県登米市出身の46歳、金ケ崎町の自動車部品製造工場に勤める会社員で、政治経験はありません。
2024年12月の入党後、党所属の県議や市議と連携して辻立ちや街頭演説を行ってきました。
5月11日には及川氏とともに党の神谷宗幣代表が盛岡市の街頭に立ち、公約の柱と言える減税政策を訴えました。
参政党 神谷宗幣代表
「消費税含めた減税政策、これをしっかりやっていきたい。消費税廃止できればすぐにでもやりたい」
そして6月8日に事務所開き、6月14日には総決起大会を行い約30人の支持者を前に決意を示しました。
参政・新 及川泰輔氏
「この日本を守りたいという気持ちは負けない。自分の命、人生を全てささげて日本人のために働きたい」
及川氏は消費税減税のほか、農家の所得保障、子育て支援として毎月10万円の給付を公約に掲げています。
参院選の投開票日として有力視される7月20日まで1カ月、各陣営による前哨戦は激しさを増しています。