天皇、皇后両陛下の広島訪問について、皇太子時代に平和公園を案内した元広島市長の平岡敬さんの思いを取材しました。
天皇皇后両陛下が揃って初めて広島を訪問されたのは、皇太子時代のおよそ30年前。平和公園にはおよそ2000人の市民が集まりました。
両陛下は当時の広島市長・平岡敬さんの案内で慰霊碑に向かい、原爆の犠牲者の冥福を祈られました。平岡元市長の説明をうなずきながら聞かれる様子が当時の映像に残っています。
【平岡敬 元広島市長】
「『昔は繁華街だったんです』ということを言って『こういう公園になりましたが、もともと焼け野原だったんですよ』と」
戦後80年の今年、両陛下は”慰霊の訪問”を続けられています。
【平岡元市長】
「昭和天皇の名において行われた戦争。そのことについての重さを天皇一家はずっと背負っていく、そういう自覚があると思うんですよね」
それを平岡さんが実感したのは、1996年のことでした。
上皇ご夫妻が広島を訪問された時、上皇さまは平岡さんの著書について声をかけられたといいます。
【平岡元市長】
「その年の7月に『希望のヒロシマ』という本を出したんですが、この本を読んでおられたんですよ。一体どこで求められたのですかとお尋ねしたら、皇太子(天皇陛下)が読むよう勧めてくれたんだとおっしゃった。それはありがたいことですと言った」
このあと、皇后雅子さまも読まれていたことを知り、被爆地への強い思いをご家族で共有されていることを感じたといいます。
【平岡元市長】
「この本はまさしく反戦、平和を訴えているんですよ。広島の原爆の惨状と平和への思いというのを受け止めてもらえたのかなと思いましたね」
原爆投下から80年。
世界情勢は緊迫化の一途をたどっています。
その中で両陛下が広島を訪問される意味を私たちが受け止めなければならないと、平岡さんは話します。
【平岡元市長】
「広島は核兵器の犠牲になったし、やっぱり戦争反対のシンボル都市に足を運ばれるということは、陛下も戦争はだめだということをきちっと国民に示しておられるのだと私は受け止めている。広島に来てあの戦争を思い起こし、二度と過ちを繰り返さないと」