落語を通して犯罪の被害防止を呼び掛けます。高松市でアマチュア落語家としても活動する警察職員の男性の思いに迫りました。
物腰柔らかな香川県警の長町篤さん（４４）の性格が“ガラリ”と変わる瞬間
高松市の高松南警察署。落とし物や警察署の予算などを管理する会計課で課長を務めるのは、長町篤さん（４４）です。誰に対しても丁寧で物腰柔らかな性格という長町さん。しかし、ある瞬間は、性格がガラリと変わるそうです。
（高松南警察署 井手誠副署長）
「全然違う。すごく饒舌（じょうぜつ）。「しもん」さんになった時は饒舌。普段は紳士的。何を考えているのかと思う」
井手副署長が話す「しもん」さんとは…？
（高松南警察署会計課 長町篤課長）
「（Ｑ：これは何の服ですか？）勝負服」
なんと長町さん、警察の仕事の傍ら、アマチュア落語家としても活動しています。
（うどんを食べる動作）「ずずー。うどんですね」
地元・香川の安全安心を守りたいと警察職員になった長町さんが落語を始めたきっかけは
地元・香川の安全安心を守りたいと、大学を卒業後、香川県警の警察職員になった長町さん。落語を始めたきっかけは、９年前、当時の上司が朝礼で一席披露してくれたことでした。
（高松南警察署会計課 長町篤課長）
「１人の人間がこんなにもたくさんの表現ができることにびっくりしたし、その時上司は詐欺の話をしてくれたが、詐欺の状況がものすごく頭に浮かんできたので面白いと思った」
受け取り方次第で想像が無限に膨らむことなどに魅了され、上司が入っていたさぬき市の朗読グループ、「どんぐり」に入会。警察本部の鑑識課で指紋係に長く従事してきたことから、芸名を「どんぐり亭しもん」としました。
（高松南警察署会計課 長町篤課長）
「少し緊張している。お客さんに喜んでもらえるか、理解してもらえるか、すごく緊張する」
落語を通して・・・一番大事なのは「お断りします」。２つ目に大事なことは？
この日訪れたのは、市内のコミュニティセンターです。落語を通して窃盗や詐欺の被害に注意するよう呼び掛けます。
（落語）
「一番大事なのは「お断りします」。２つ目に大事なことは「うまい話には裏がある」」
訪れた人や講演のテーマに合わせて、内容をアレンジしながら話すのがポイントです。
（落語）
「大金をもらっていただろ。それを出せって言ってんだよ。早く出せ」
「うちは近所やお向かいが近いのよ。そんな大きな声を出していたらすぐに警察が来るわよ」
「そうか。（小声で）俺は泥棒だ。早く金を出せ」
（訪れた人は…）
「楽しく聞かせてもらった。よく分かって面白かった」
「昔も（詐欺の被害が）あったのだなと。これ以上特殊詐欺の被害がないように気を付けたい」
落語を通じて情報発信を…警察の堅いイメージを少しでも壊せたら
落語を通して香川の安全安心を守る長町さん。交流の輪を広げようと、「英語落語」のイベントを企画するなど、新たな取り組みにも挑戦を続けます。
（高松南警察署会計課 長町篤課長）
「落語というフィルターを通すことで、皆さんのバリアや（警察の）堅いイメージを少しでも壊せたら。今後も警察の仕事以外でも落語を通じて情報発信したい。見かけた時には声を掛けてもらえたら」
