戦後80年を迎える今年、被爆地広島に先立ち激戦地・硫黄島、そして沖縄を訪れ、戦没者を慰霊された天皇皇后両陛下。その”慰霊の訪問”を振り返ります。

冷たい雨が降り続く中、ゆっくりと慰霊碑に進まれる天皇皇后両陛下。
今年4月に初めて訪問されたのが太平洋戦争末期、日本軍とアメリカ軍が激しい戦闘を繰り広げた硫黄島です。

この場所が”戦後80年・慰霊の訪問”の始まりとなりました。
硫黄島では旧日本軍およそ2万2000人、アメリカ軍およそ7000人。さらに、軍属として徴用され島に残った島民82人が犠牲となりました。

両陛下は硫黄島で3つの慰霊碑をめぐり、戦没者に祈りを捧げられました。
陛下は戦後80年の節目の年に、戦争の体験を直接、聞く機会をとても貴重だと考えられています。

【天皇陛下】
「今年戦後80年という節目を迎え、各地で亡くなられた方々や苦難の道を歩まれた方々に改めて心を寄せていきたいと思っております。
そして、戦争の記憶が薄れようとしている今日、戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や歴史が伝えられていくことが大切であると考えております」

今月4日、両陛下が訪問されたのは、多くの民間人を巻き込んだ地上戦が行われた沖縄県にある「平和の礎」。

「平和の礎」には24万人の犠牲者の名前が刻まれています。
県民の4人に1人の尊い命が失われた、80年前の沖縄戦。
「本土決戦」の時間を稼ぐための作戦が、あまりにも大きな犠牲に繋がりました。

この訪問には沖縄を訪れたことがなかった長女・愛子さまも同行されました。
ご一家そろっての沖縄での戦没者慰霊は、「次の世代にも戦争の歴史や平和への思いを引き継いでいきたい」という願いから実現。

沖縄県糸満市にある「国立沖縄戦没者墓苑」では、遺族も立ち会うなか、納骨堂の前で花を供えて深く拝礼されました。
また、遺族に歩み寄りひとりひとり声をかけられる場面も…

【遺族】
「(皇后さまが)大変でしたねと。平和というものがどれだけ尊いものであるかと同時に、心に残っている傷は絶対に消えないんですね」

”戦争を知らない世代に継承していくことの大切さ”を、これまでも繰り返し語られてきた両陛下。
戦後80年にあたっての各地への訪問では、こうした両陛下の思いを踏まえて、戦争の体験者や遺族、そして、語り部として活動している若者との懇談の機会も設けられました。
戦争で大きな被害が出た地を巡ることで平和の尊さを心に刻み、平和への思いを新たにしたいと今年2月の会見で話された陛下。

こうした強い思いを胸に被爆地・広島を訪問されます。
硫黄島、沖縄に続き、広島でどんな思いを刻まれるのでしょうか。

テレビ新広島
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