シリーズでお伝えしている「変わる高校」。

12日は県立高校の再編で、いま議論が白熱している「大規模校」についてです。

富山県教育委員会は、1学年8クラスに相当する320人以上の大規模校を県内に新設する方針です。

規模が大きいことでどのようなメリットがあるのか、全国有数のマンモス校を取材しました。

千葉県の県立幕張総合高校です。

29年前の1996年に幕張北、東、西の3校が統合し、開校しました。

普通科目と専門科目を幅広く学べる「総合学科」16クラス、5年間の一貫したカリキュラムで学べる「看護科」1クラスからなり全校生徒は2200人に上ります。

こちらは総合学科の「フランス語」の授業。

生徒15人に対し、教員は2人です。

外国語の授業は英語に加え、フランス語と中国語の2つの選択科目を用意しています。

一方、こちらは「演奏研究」の授業。

生徒がパソコンを使って作曲を学んでいました。

学校では一定の単位数を満たせば卒業できる「単位制」を導入。

生徒は200近い選択科目から、進路や得意・不得意に応じて学ぶ科目を組み合わせ、自分だけの時間割をつくっています。

なかにはこんな生徒も…。

*幕張総合高校 山森一輝 副校長
「ここは会議室で自習している。普通の学校なら1から6限までびっしり時間割があるが選択なので1時間目がない日があるとかそういう場合もある」

まるで大学のような自由さ、選択肢が提供されています。

*幕張総合高校 山森一輝 副校長
「与えられた時間割のなかで学習するのではなく本当に学びたいものを選択講座から選んで時間割をつくるというのが2年生3年生の特色。生徒は魅力を感じて入学している。」
「昨年も1.5倍以上の倍率。ここ数年1.5倍以上を継続的に倍率が出ているのでうまく運営できていると思っている」

校舎は開校した29年前に新設されました。

3000人を収容できるメインアリーナを備えた体育棟や、温水が使用できるプール。

野球場に、400mの陸上トラック、サッカーコートも備えています。

圧巻なのは、教室の前にそびえる高さ5階建て相当のクライミングウォール。

全国でも珍しい、ワンダーフォーゲル部が使用しています。

部活動と同好会の数は、運動部と文化部合わせて42。

それぞれの部員数も多く、活気があります。

*幕張総合高校 山森一輝 副校長
「300近くの中学校から全県で入学してくる。仲間づくりも魅力があるのかなと。海外帰国の生徒や外国人の特色化選抜も行っているので、文化の違う同世代の子と学校生活を送ることができ、刺激になっている」

スタジオには取材にあたった前田記者です。

全国でも有数のマンモス校とのことですが、どんな雰囲気でしたか。

大学のキャンパスのようで、活気がありました。

幕張総合高校の総合学科は、進学に特化し、ほぼすべての生徒が4年制大学への進学を希望するそうです。

学校には7階建てガラス張りの教室棟が2つあるんですが、休み時間になると生徒の大移動が始まり、それぞれが選択した授業を受けに行きます。

自分の興味のある分野の勉強を選択して学べるのは、大規模ならではのメリットだと感じました。

学校にクライミングウォールがあるのも、珍しいですよね。

部活動も幅広い選択肢があることはもちろんなのですが、なかには200人を超える部もあって、活気がありました。

運動部、文化部それぞれ県大会で好成績を残し、全国大会に出場する部もあります。

ただ、富山に置き換えると…

子どもの数は急激に減るなか、果たして大規模校は必要なのかという意見もあると思いますが…。

県教育委員会は去年、高校2年生を対象に将来、どんな県立高校が必要か調査を行いました。

その結果がこちらで、希望が最も多く挙がったのが「学習内容を選択できる仕組みがある学校」でした。

規模を大きくすれば、それだけ教員も配置できるので授業の選択肢も増やすことができる。

県教育委員会は、大規模校にはニーズがあると見ているようです。

これまでの県教委の方針では、大規模校を県東部と西部にそれぞれ1校ずつ設置するという方針でしたが、「設置場所」の議論はどんな状況ですか。

直近の会合では検討会議の委員から、「1校に絞り、県内の交通の便のいいところに設置してはどうか」との意見が出されました。

今後は1校・2校、それぞれの設置を比較し、議論するということです。

ただ、県教育委員会の幹部の1人は、1校だろうが2校だろうが、交通の便がいいところに設置する方針は変わらないと話しています。

また、具体的な設置場所を考える時に押さえておきたいのが敷地面積です。

現在34ある県立学校の平均の敷地面積はおよそ5万平方メートルですが今回取材した幕張総合高校は総合学科のある敷地だけでも9万平方メートルです。

大規模校となると、ある程度大きな敷地が必要となりますし、かつ交通の便がいい場所という事を踏まえると、いまの県立高校の跡地を利用するのが現実的だと考えられます。

校舎も新設されることが検討されていますから、どこに設置されるのか注目ですね。

教育委員会は9月県議会までに、大規模校の規模・場所・教育内容を盛り込んだ設置方針案を固めたいとしています。

富山テレビ
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