2025年5月27日、静岡県沼津市では保育園の前の道路で2歳の男児が車にはねられた。さらに島根県では6月2日、保育園の駐車場を歩いていた1歳の男児が車にはねられ、死亡した。この一カ月の間に全国で相次いだ、子どもが巻き込まれる事故。保育の現場での対策と注意点を取材した。
■保育園での安全教育
福島県福島市にある「さくらんぼ中央保育園」。この園では、送迎に車を使う保護者が多いことから、毎日子どもたちに交通ルールの大切さを伝えている。
この日は、絵本を読み聞かせながら、駐車場では遊ばないこと、おうちの人と手をつないで帰ることなどを確認していた。園児たちは「駐車場では飛び出さないこと」「駐車場まで手をつないで帰る」と話し、理解している様子。
保護者にも「駐車場では周りに細心の注意を払う」「子どもの手を離さない」ことを呼びかけている。園長の佐藤美保さんは「事故のニュースを聞いた直後は気をつけなくてはいけないという気持ちはあるが、やはり時が流れると忘れてしまうことも多い。定期的に保護者のみなさん、職員全員に伝えていきたい」と話した。
■ドライバーに求められる注意
事故の危険性は、保育園や幼稚園に通う子どもだけではない。特に小学校に入学するタイミングの7歳が最も多くなっていて、行動範囲の広がりが事故のリスクにつながっているとみられている。
子どもに見立てた高さ1メートルのパネルを使い、子どもが車の周辺にいた場合にドライバーからどのように見えるのか検証した。車のすぐ後ろに子どもがいた場合、バックモニターだとその姿を確認することができるが、ルームミラーや目視では、子どもがどこにいるのか全く見えない。
また、車のすぐ目の前に子どもがいた場合では、かろうじて存在は確認できるが、より小さな子どもでは全く姿が見えなかった。さらに、フロントピラーによる死角にも注意だ。
■自治体でも対策進む
福島市では、交通事故から子どもを守るために、保育所などの周囲・半径約500mをキッズゾーンに設定し、路面表示などでドライバーに注意を呼びかけている。(※対象施設は2025年3月時点で148カ所)
保育所など以外にも通学路や公園の入口などでは「子どもが飛び出してくるかもしれない」と危険を予測しながら、周囲をよく確認するなどして慎重な運転を心がけほしい。大人のちょっとした意識が、かけがえのない命を守る一歩につながる。