中古車販売店を巡るトラブルがあるとの情報提供を受け「イット!」が向かったのは広島・東広島市。
値札が付いた車がずらりと並ぶ中古車販売店。
情報提供者は、3月にこの店で車の購入契約をしたというAさん。
案内された先にあったのが、Aさんが購入したという中古車。
被害者Aさん:
これですね、私が買った車は。(Q.ずっとここに放置されている?)そうですね。来るたびにずっとここにありました。(Q.目の前にあるが納車されない?)そうですね。
「買った車がすぐ目の前にあるのに納車されない」と訴えるAさん。
一体、何が起きたのか。
この店の事務所に向かうと…。
被害者Aさん:
5月16日に来てみたら貼り紙があった。
資金難で本社からの入金がなく納車ができないとして、突然の閉店理由を告げる貼り紙が。
契約後、すぐに車の代金44万3000円を入金していたAさん。
店の前を通るたびに怒りが込み上げます。
被害者Aさん:
主人はすごく怒って、仕事帰りに通るので見に来たりするけど、名義を変更していないので勝手に持って帰ったりもできないし、鍵もないのでどうしたらいいんだろうっていう気持ち。
この販売店では、他にも驚きの被害報告が。
被害者Bさん:
マークXというセダンを、合計金額50万円くらい。
4月に中古車を契約した二十歳で学生のBさん。
納車を楽しみにしていましたが「(書類に)「解体済み」って書かれていて。工場に電話を彼がしてくれたら「もうスクラップにされている」と言われて。信じられなかったですね。すごくショックでした」と話します。
陸運局で車体番号を調べてみたら、購入したはずの車がスクラップになっていたというのです。
被害者Bさん:
ずっと連絡はしてるんですけど、全然返信はいただけなくて。
Bさんは運営会社の社長に対応を求めましたが、返答がないため警察に被害届を出したといいます。
被害報告が相次ぐのは中古車販売チェーン「カーネル」。
中古車最安ナンバー1などとうたい、札幌や静岡、福岡など全国に14店舗を構えていましたが現在はその全店舗に連絡がつかない状況です。
自動車生活ジャーナリストの加藤氏のもとには、全国から被害を訴える声が寄せられていました。
自動車生活ジャーナリスト・加藤久美子氏:
被害者で作ったオープンチャットには400人以上が参加。(被害額の)高い方は車の代金なので700万とか800万とか。14も(店舗が)あるところでこれだけのトラブルは私の知る限りかなり珍しい。
納車を待たされ続けたAさんは、カーネル運営会社社長に直談判。
通話の音声を録音していました。
Aさん:
ちょっと録音させてください。
社長:
大丈夫です、はい。
Aさん:
5月の末までに、今月末に納車ってことですよね。
社長:
の予定ですね。予定としてそのくらいで納車できるように連絡させていただくので。
「納車日はいつか」との問いかけに運営会社社長は、はっきりしない返答を繰り返します。
社長:
ちょっと色々手続きの問題がございまして、そこはしっかりとやらせていただきますので。
Aさん:
大丈夫ですか?
社長:
大丈夫です、はい。
こうした中、カーネルの元従業員が「イット!」の取材に応じ経営難の実態を明かしました。
2024年10月ごろから本社からの入金が滞り、車両の整備費用などが支払えず納車の遅れが発生するようになったといいます。
しかし、社長は…。
中古車販売店「カーネル」の元従業員:
(社長は)4億が3日後の何日に入るとか、その2日後に2億入るとか、結局その日になっても連絡もなく、入金されない繰り返しでそれがもう毎回だった。
年末からは給料の支払いが遅れ始め、2025年2月から4カ月分の給料が未払いに。
従業員たちは「最後は完全にボランティアで、購入者に何とか納車をしてあげたい一心」で働いていた状況だったといいます。
中古車販売を巡る数々のトラブルについて、運営会社の社長はどう説明するのか。
「イット!」は運営会社の本社など社長の関係先を当たったものの、所在をつかむことはできませんでした。
ところがつい先ほど社長のN氏から「イット!」に電話が。
社長のN氏は「個々のトラブルについては全て把握している。現在、資金調達を進めていて今月中に全ての方に返金をしたいと思っている」などと説明しています。