この週末、24時間耐久レースに挑戦したトヨタの水素エンジン車。
市販化を目指し、進化を続けています。

爆音をとどろかせて走るレーシングカート。
細かなカーブもハイスピードで走り抜け、ストレートではさらにスピードアップ。

ピットインしてきたその車体には、「H2(水素)」の文字。
実はここに、モータースポーツの未来とカーボンニュートラル社会の実現を見据えたある思いが。

週末、静岡県の富士スピードウェイで行われた自動車の24時間耐久レース。

雄大な富士山をバックにコースを走り抜けるのは、トヨタ自動車が開発中の液体水素エンジン車です。

水素を直接燃焼させて走るため、二酸化炭素はほとんど排出せず、4年前の開発当初は気体の水素を搭載していましたが、2023年からは液体水素でチャレンジ。

2024年の最終戦では、気体の水素を使用していたときに比べ、1回の充填(じゅうてん)での航続距離は約2.5倍に。

今回のレースでは、高出力と低燃費を実現させるための燃焼方法の切り替え技術や、液体水素の充填時間の短縮などを目指した新たな充填バルブなどが導入されました。

トヨタGRカンパニー・高橋智也プレジデント:
もっと車を鍛える。水素システムも(実用化に向けた)山を登っていくための底力をつけろと言われたのが去年のシーズンだったと思う。今年はそういう意識でとにかく完走する。

今回も豊田章男会長がドライバーとしてハンドルを握り、2024年を大幅に上回る468周で24時間を完走。

市販化を目指し、ますます進化する水素エンジン車ですが、一方でこの日サーキット内でお披露目されたのが、トヨタが開発中のレーシングカートです。

カートは、モータースポーツの入門用として最適とされていますが、本格的なものは150万円程度するなど高価格が普及の壁に。

そこでトヨタは、自動車メーカーならではの量産技術で低価格のカートを開発。

ヨーロッパ製のカートの4分の1程度の価格を目指しているほか、運搬しやすいよう、大人1人でもミニバンに積み込みができるよう専用のキットも。

さらに燃料もガソリンのほか、カーボンニュートラル燃料にも対応。

この日は、同じく開発中の水素(気体)エンジン搭載のカートもお披露目され、スピード感あふれる走りを見せました。

トヨタ自動車 GR車両開発部・伊東直昭主査:
これから自動車業界をどうやって活性化していったらいいか、将来への種まきや子どもたちを今後、自動車業界に対してどういうふうに引っ張っていくかというようなことも考えながらやっている。

車好きを増やす、そして環境への配慮も忘れない。
挑戦はさらに続きます。