福島・いわき市に本店を置くいわき信用組合が、20年以上にわたり「不適切な融資」を行っていたことが明らかになった。報告書によると、不正融資の件数は1200件以上にのぼるという。さらに、震災の被災企業支援の目的で受けた国からの資金支援も、無断借名融資の返済に充てられていた可能性がある。さらに職員が重要書類の入ったパソコンを破壊しており、証拠隠滅の可能性も浮上している。
「極めて重大な不祥事」不適切融資で会見…証拠隠滅の可能性も
地域に根付く金融機関が、長年不正な融資を繰り返していたことが明らかになった。最も大事な「信用」が大きく揺らいでいる。

2日のテーマは「信用組合が巨額不正融資、横領・証拠隠滅も ソレってどうなの?」だ。
巨額の不正融資が発覚したのは、福島・いわき市に本店を置き、市内に14の支店を展開する「いわき信用組合」だ。
20年以上隠し続けてきた「不適切な融資」について、5月30日の記者会見ではこう言及している。

いわき信用組合・本多洋八理事長:
「信用」を第一とする金融機関として、極めて重大な不祥事を発生させ、当組合の組合員の皆様及びお客様を始め、関係各位に多大なるご心配とご迷惑をお掛けしていることを、改めてお詫び申し上げたいと思います。本当に申し訳ございません。
発覚のきっかけは2024年9月、SNSでの不正の告発だった。これを受け、11月にいわき信用組合は、大口融資先だった企業の資金繰りを支援するため、迂回融資をしていたことを公表した。
さらに、東北財務局の調べで無断借名融資も明らかになった。

名義人に無断で開設した複数の口座への架空融資、つまり無断借名融資や、事業実態のない、いわゆるペーパーカンパニーへの迂回融資を通じ、大口取引先へ不正融資を繰り返していたという。
他にも元職員が多額の横領事件を起こしていたが、旧経営陣は懲戒処分など必要な措置を取らず、さらに横領を引き起こしていた。しかも、その損失は不適切な融資などで補填されていたことも明らかになっている。
口座を持っているという方は、こう話す。
口座を持つ人(70代):
預ける先を変えた方がいいのかなと思ってしまう。包み隠さず、洗いざらい話して欲しい。
口座を持つ人(70代):
定期(預金)とかどうなっちゃうのかな。自分のお金が戻ってくるのか、満期になったら。心配はあります。
口座を持つ人:
地元金融機関で中小企業を支える役なのに、足引っ張るようなことをしてどうするんだろうと思って。怒りが爆発しそう。

問題を受け5月30日、第三者委員会が200ページを超える報告書をまとめ、会見を行った。認定した不正融資の件数は1293件、金額は少なくとも総額247億7000万円余りで、20年以上、不正な迂回融資を行ってきたと結論づけている。
第三者委員会:
様々な不正行為を、法令違反を組織的に行ってきた可能性が高い。
さらに第三者委員会の設置と同時に、職員が重要書類が入ったパソコンを破壊しており、証拠隠滅の可能性も浮上している。
震災支援金も無断借名融資の返済に充てられていたか
青井実キャスター:
期間20年も、びっくりですね。

SPキャスター岩田明子さん:
長いですし、隠蔽体質も悪質ですので、とにかく洗いざらい事実関係を公表してもらって、再発防止に向けたしっかりした道筋を示してもらわないと、なかなか信用は戻らないと思いますね。
さらに、悪質な手口も判明してきている。いわき信用組合は震災の被災企業を支援の目的で、国から200億円の資金支援を受けている。しかし、その資金まで無断借名融資の返済に充てられていた可能性がある。その額は、第三者委員会の調査で判明しただけでも、約10億円に上るという。
金融業界に詳しい東洋大学の野崎教授は、問題の悪質性を前代未聞だとした上で、こう指摘する。
東洋大学・野崎浩成教授:
融資を続けることで不良債権にならない。その結果損失も受けずに済む。経営責任を免れてきたと。

一方で、今回のような不正融資はどの信用組合でも起こる恐れがあるという。
東洋大学・野崎浩成教授:
信用金庫や信用組合は「共同組織」。簡単に言えば互助会的な組織。その中から代表者を選ぶ。そこに反抗するとなかなか上に上がれない。それが不正の温床になったと言うべき。
前代未聞の不祥事を受け、いわき信用組合は現経営陣ら7人の辞任を発表した。今後も説明責任が求められる。
(「イット!」6月2日放送より)