米価格の高騰を抑制するために政府が進める備蓄米の放出。
大手のスーパーに続き、福岡県内の米穀店なども備蓄米の確保に動き始めています。
30日午前、新潟県の精米工場に届いた備蓄米は、ドン・キホーテなどを展開する企業が随意契約した2022年産の備蓄米で、6月2日以降、首都圏を皮切りに順次、全国のドン・キホーテの店頭に並ぶ予定です。
◆小泉農水相(26日)
「一層のスピード感と危機感を持って米の価格についての国民の皆さまの不安を払拭していく」
30日午後、小泉農水大臣は神奈川県にある備蓄米倉庫を視察しました。
長期化する「米価格高騰」の抑制へ、備蓄米放出の「スピード感」を重視する中、30日もまた新たな動きが…
◆小泉農水相(30日)
「きょうから街のお米屋さんと中小のスーパーの受付を開始したので、進めながら随意契約の形も動きを見て柔軟に考えていければと思っています」
これまでは大手スーパーなどを対象に2022年産のコメいわゆる「古古米」を受け渡す契約を結んでいましたが、30日から中小規模のスーパーや街の米穀店を対象とした随意契約の受付を開始。
2021年産の「古古古米」を合計で8万トン放出する方針です。
福岡県宇美町にある「いしぬき米穀店」。
代表の石貫さんは29日、備蓄米の申込みに意欲を見せていました。
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「仕入れてみないと分からないところがあるんですが、おいしく届けられるようにしたいと思っています」
しかし30日、申込みの受付が始まった午前10時になっても、石貫さんはいつも通りの作業を行っていました。
Q.10時から備蓄米の申込みがスタートしているが?
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「ちょっと申込みの条件が厳しかったので、それで…」
Q.いったん10時からの申込みは?
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「そうですね、見送っている状態で」
農水省が29日夕方の説明会で明らかにした引き渡しの条件では、引き渡しの量は一度に最低10トンからで、8月までの3カ月間で売り切るよう求められたのです。
Q.何が10トンだと問題になる?
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「置く場所と、あと8月までに販売してしまわないといけないので、そこまでできるか…。夏場は傷むので、3カ月分置いておいて問題が出てもいけないので。米の仲間も何人か説明会出ていましたが、条件が厳しいので、個人で入れるのは厳しいかなと話をしていました」
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「他にも入りそう?」
◆シノザキ米穀店 篠崎和広 代表
「一応声を掛けて、仲間を呼んで、希望を聞いて、なるだけ困っているお客様に届ける感じがいいと思うんですよね」
そこで、石貫さんが活路を見いだしたのは、ほかの店舗との共同購入です。
農水省もこれを認めていて、石貫さんは近隣の仲間たちと全体で20トンから30トンの備蓄米を購入し、うち5トンほどを取り扱う構えです。
◆シノザキ米穀店 篠崎和広 代表
「月曜日、週明けにはまとめて、不備がないように念入りにやりながら」
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「1人だと、きのう説明会うを聞いて、もう無理だなと思っていたので、仲間内で共同でできるというのがありがたいです」
今回対象となる2021年産の古古古米については、セブンイレブン・ジャパンとファミリーマート、ローソンのコンビニ大手3社もすでに申込みを行っています。
小泉農水大臣は、古古古米の値段は1800円程度で、早ければ6月9日以降にも店頭に並ぶとしています。
◆記者リポート
「こちらのドラッグストア コスモスでも備蓄米の販売が始まります」
福岡県内に約200店舗を展開するコスモス薬品は、イオンと並び、全国で最も多い2万トンの古古米を随意契約で申し込みました。
◆コスモス薬品 店舗運営部 垣岩寿明 エリア長
「こちらのお米売り場には6月中旬ごろに備蓄米が並ぶ予定です」
現在の売り場に並ぶのは5キロ5000円に迫る高値の米。
コスモスでは少しでも価格を抑えようと、5キロ3000円台の「台湾米」も導入し対応していました。
随意契約の備蓄米が届けば、更に安値での販売が可能になります。
◆コスモス薬品 店舗運営部 垣岩寿明 エリア長
「小泉大臣も言っていましたが、5キロで2000円という話があったので、税込みで1980円での販売を予定しています。今回の備蓄米の放出で、価格を安くして、お客さまに喜んでいただければと思います」
29日に受け渡しが始まった大手向けの「備蓄米」はいつ福岡の店頭で買えるようになるのか、県内に店舗がある主な企業に聞いてみました。
まずイオン九州は、6月上旬をめどに税込みで2138円で販売する予定です。
そして、福岡市に本社を置くディスカウントストア「ミスターマックス」は、6月上旬をめどに税抜きで5キロ1000円台を目指すということです。
ホームセンターの「カインズ」は、販売時期は未定ですが、5キロ税込み2160円での販売を目指しているほか、さらにドラッグストアの「サンドラッグ」や同じグループのディスカウントストア「ダイレックス」も販売予定で、時期は未定ですが、5キロ税込み2160円で販売するという事です。
マルキョウは、販売時期は未定で、運営会社によると5キロ2000円程度で販売する予定です。
さらに「ドラッグ・セイムス」「ドラッグストア・モリ」、食品スーパーの「ロピア」でも販売時期や価格は未定ですが、備蓄米の取り扱いは行うということです。