■「梅」に異変 いったい何が…

今まさに収穫の時期を迎えている「梅」に異変です。

全国トップの産地・和歌山県の梅農園を訪ねると、そこには傷だらけの梅がたくさん…

いったい何が起きたのか、そして消費者にはどんな影響があるのか徹底取材しました。

■「実がない」今年は例年の6~7割ほど

南高梅の一大産地、みなべ町。

毎年この時期に行われている梅の生育調査に同行すると…

【和歌山県職員】「2つしかない…」「こっち1つしかないです」

なにやら渋い表情…梅がかなり少ないようです。

さらによーく梅の実を見てみると…

【記者リポート】「ことしは例年の6-7割ほどしか梅の実がなっていないということなんですけれども、その実の表面こちらご覧ください。大きな穴が空いています」


■売上げが半値 食べて行けるか心配…

歴史的な梅の不作に追い打ちをかける実についた大きな傷。

一体、何が起きたのか…

【和歌山県職員】「全部、ひょうによる傷ですね」

原因は「ひょう」です。

4月、梅の産地を4日間にわたって襲ったひょう。

和歌山県によるとその被害総額はおよそ48億円に上ります。

【梅農家・井口宗孝さん「(売上は)やっぱり半値じゃない?こんなんで食べていけるかなと。行政もJAも梅屋さんも皆、梅を生業にしているので、梅が倒れたらここらへん全部倒れます」

■二年連続の大打撃に「梅ボーイズ」も困り果てて

和歌山の梅は、去年も歴史的な不作でした。

暖冬やカメムシによる被害に加え、去年も1度、ひょうに見舞われ、その様子は「newsランナー」でもお伝えしました。

二年連続となる大打撃。
様々な独自の取り組みで注目を集める梅農家で梅干店の「梅ボーイズ」も困り果てています。

【梅ボーイズリーダー 山本将志郎さん】「歴史上1番の凶作と歴史上2番目のひょう被害があったのが去年だったんですよ。で、ことしは不作は去年ほどではないんですけど不作で、それに加えて去年をはるかに上回るひょう被害があってかなりしんどい状態ですね」

■価格高騰で消費者離れが心配

南高梅の魅力は、果皮の薄さととろけるような柔らかさです。

しかし、傷がついた部分は食感が固くなりその魅力は失われます。

【梅ボーイズリーダー 山本将志郎さん】「梅干しにできそうなものは2割とかですかね。梅干しにしても売れないだろうなと思います」

さらに影響は広がっています。

梅干しの製造・販売を手掛ける業者によると、去年の不作で、すでに梅干しの相場は6割から7割ほど上昇。

価格高騰で消費者の梅離れが進むことを懸念しています。

■「傷があってもなくても品質は同じ」 規格外の梅で新商品を

この逆境の中で、梅ボーイズも試行錯誤しています。

「漬けた時に梅から出るエキスですね。すごくおいしいので醤油みたいに使えて、こちらは傷があっても全然関係がない」

進めているのは規格外の梅を使った新商品の開発。

【梅ボーイズリーダー 山本将志郎さん】「傷がある梅で作っても傷がない梅で作っても、品質が全く一緒なんですよ」

■クラウドファンティングで3000万超の寄付 新商品開発に期待

この新商品づくりへの支援をクラウドファンディングで募ったところ、すでに3000万円を超える寄付が寄せられました。

【梅ボーイズリーダー 山本将志郎さん】「傷がついていてもちゃんとした生活できる金額で買い取れるようにはここ数年で作りたいなと思っています」

歴史的な大打撃に見舞われた梅の一大産地。
梅農家の模索は続きます。

(関西テレビ「newsランナー」2025年5月30日放送)

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