30日の衆議院で可決された年金制度改革法案ですが、将来世代の基礎年金の底上げが注目されています。
年金額が増える世代や、その中で減る世代というのも出てきます。
30日午後、自民・公明・立憲民主の3党などの賛成多数で衆院を通過した年金制度改革法案。
30日の委員会で日本維新の会は、修正案の審議は28日に議論が始まったばかりだとして、議論が不十分だと訴えました。
日本維新の会・青柳政調会長:
ちゃんとした抜本的な議論を行うような期間。そして、その場が必要ではないか。
石破首相:
各党において、本当に真剣な議論を積み重ねた結果、今日のこの委員会に結実している。
立憲民主党・長妻議員:
現役世代の年金の目減りを、厚生年金の目減りを防ぐ。これを防ぐような修正案を出して、そしてギリギリ審議をしている。もっと早期にしていただきたかった。
衆院本会議で、今回与党と修正協議を行った立憲民主党に対しても批判の声が上がりました。
国民民主党・浅野議員:
野党の総意を与党に伝える筆頭の立場の野党第一党である皆さまが、重要な広範議案の審議で他の野党との協議を横に置き、真っ先に与党との協議に突き進んだ一連の行動には強い違和感。
この法案の最大のポイントは、厚生年金の積立金を活用した基礎年金の底上げです。
法案には、4年後の財政検証で将来的に基礎年金の給付水準が下がりそうな場合は、厚生年金の積立金の一部と税金を使って底上げすることを盛り込みました。
この底上げが実際に行われた場合、今の制度に比べて、どのくらい給付額に違いが出るのでしょうか。
厚労省の試算によりますと、年齢によって増える受給額に差はありますが、男性は62歳、女性は66歳まではプラスになります。
ただ一方で、現在63歳以上の男性や67歳以上の女性は、今より受給額がマイナスになります。
厚生年金の受給額が減る場合、緩和策も盛り込まれていますが、試算でマイナスに該当するシニア世代の人たちにこの法案について聞くと、「憤慨です。他を切り詰めるかしないとだめ。今のままではね」「実際にどこまで下がるかが問題。下がるんだったら保険料も下げてもらいたい。税金も」「下がるのは困る。今までもらえてたものが少なくなるっていうのは。でも仕方ないのかなと思うところもある」といった声が上がりました。
プラスになると試算されている現役世代の人からは、「上がったとしたらやっぱりうれしい。200(万円)超だったら、子供いるので子供にあてられたり」「増える分にはいいかなと思う」といった声が聞かれました。
年金額が増えるという世代からは喜びの声が多いのではと予想していましたが、一番多く聞かれた声は「本当なんですか?その試算が。60歳が定年だとしても13~14年あるので、そこまで考えられない。60歳になって「どうにもできません」じゃなくて、今の段階で(就職氷河期世代を)どうにかしてほしい」「就職氷河期を経験して、ずっと手取りが少なくて苦しめられてきた身としては将来のお金を考える制度よりも、今の手取りを増やすような改革に踏み切ってほしい」といったものでした。
今後について、議論の場を参議院に移す年金制度改革法案ですが、フジテレビの智田裕一解説副委員長は「この改革法案で氷河期世代をはじめ、就職などで苦労した世代を下支えしようという考え方は評価できる」と指摘します。
ただ、その一方で「厚生年金の積立金を基礎年金に活用するという前提ができれば、今後、年金財政が苦しくなったときに、同じようなやり方がとられるのではという懸念も。将来の給与水準を確保するために制度はどうあるべきかという根本的な議論が求められている」と話しました。
30日の衆議院通過で、年金制度改革法案は、今の国会で成立する見通しとなりました。