長野県栄村の住宅で5月、保管していたコメ330キロが盗まれる被害があり、農家は心を痛めている。県内では、佐久市や下伊那郡でも被害の届け出があり、県警は、施錠の確認や防犯対策の徹底を呼びかけている。

コシヒカリの玄米330キロが盗まれる

被害があったのは、栄村長瀬のコメ農家の住宅。シャッターを開けて倉庫に入った先の貯蔵庫からコメの袋がなくなったという。

農家の87歳男性は「いっぱい入ってたんだけど3袋を残して、あとみんな持っていかれちゃった」と話す。

被害のあったコメの貯蔵庫を開ける男性
被害のあったコメの貯蔵庫を開ける男性
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男性によると、5月10日、自宅の1階部分の倉庫にあるコメの保管庫を確認したところ、2024年秋に収穫したコシヒカリの玄米14袋のうち、11袋がなくなっているのに気付いた。

袋は30キロ入りで、盗まれたのは330キロに上る。

「やられた…売っているんだと思う」

自宅近くの約2ヘクタールの水田で、うるち米ともち米も育てている。収穫したコメの多くは地元の農協に出荷しているが、盗まれたのは、離れて暮らす子どもや兄弟に送るために保管していたものだという。

男性は「開けたと同時に『あ、やられたな』と。(被害は)昼間だね、夜ならシャッターの音が大きいからわかる。まさか、こんなこと今までなかったから、鍵かけないで山いっちゃうんだ」と話した。

コメの貯蔵庫
コメの貯蔵庫

倉庫のシャッターには鍵をかけておらず、農作業で留守にしていた日中に、何者かが侵入して盗んだとみられ、男性の親戚が警察に被害届を出したという。

男性は「頭にきた。憤りはあるけど、返ってくるわけじゃないし、あきらめるしかない。鍵かけるしかないから、鍵をかけるようにしてるけどね。(盗まれたコメは)多分食べきれないから売ってるんだと思うよ、小遣い稼ぎにしたり」と語った。

価格高騰続く中、他にも盗難被害を確認

県内では他にもコメの盗難被害が確認されている。県警によると、2025年2月以降、佐久市の空き家で150キロ、下伊那郡の住宅の倉庫で90キロが盗まれたという。

価格高騰が続くコメ。5月18日までの1週間に全国のスーパーで販売されたコメの平均価格は5キロ当たり4285円で過去最高となった。1年前と比べると倍になっている。

スーパーでのコメの価格推移
スーパーでのコメの価格推移

県警によると、2024年はコメが主となる盗難被害は確認されておらず、2025年になって被害が相次ぐ背景には、コメの価格高騰と品薄があるとみられる。

県警は、「物置や倉庫はしっかり施錠すること」「防犯カメラやセンサーライトなど防犯対策を講じること」などを呼びかけている。

(長野放送)

長野放送
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