兵庫県の斎藤知事の疑惑をめぐり、告発者の私的な情報を当時の総務部長が外部に漏えいしていた問題。
第三者委員会の発表から一夜明け、斎藤知事は改めて漏えいの指示を否定した。

斎藤知事の疑惑を告発した元県民局長の私的情報が外部に漏えいした問題。
この問題を調べていた県の第三者委員会は、27日、当時の斎藤知事の最側近だった総務部長が3人の県議に私的情報を漏えいしていたと認定した。
その漏えいについて当時の総務部長は「知事や前副知事の指示によるもの」と第三者委員会に説明していて、前副知事や同席者も証言をしているということだ。
工藤涼二・第三者委員会委員長:知事からの指示、およびこれと同調する元副知事の指示により元県民局長の私的情報について情報開示・漏えいを行った可能性が高い。

■漏えい認定された元総務部長「業務行為が漏えいと評価され誠に残念」
漏えいが認められたことで、兵庫県から停職3カ月の懲戒処分を受けた当時の総務部長。
26日夜、代理人弁護士を通じて「処分につきましては、私の業務行為が情報漏えいと評価されたものであり、誠に残念です。審査請求及び執行停止の申立てを行い、正当性を主張したいと思います」とコメントを出した。
一連の事態に、兵庫県民からは説明を求める声などがあがっている。
県民:トップが指示をしたら職員はそうしないといけなくなるでしょうから斎藤さんの判断が悪かったのかなとは思います。もし本当に斎藤さんが指示したなら。
県民:もう一度改めて市民に対しては「初動が間違っていました、ここは私の間違いです、ここは間違いではありません、改めてこの処分を下しますと市民に説明すべきだと思いますね。
県民:いろいろ第三者委員会以外でも出てきたのでショックは大きいですね。斎藤知事がやってこられたことは非常に賛同する部分がありましたのでここからどう持ち直してもらえるかなと期待したい。

■議会側の反応は分かれる
この問題について兵庫県議会の各会派は次のような反応を示しています。
自民:不信任も視野に動かなければならないが、正直、夏の参院選で頭がいっぱい。
県民連合:知事は辞めるべきだが、辞職勧告決議の提出などは、他の会派の賛同を得られるかわからない。
維新:総務部長という責任あるポジションだから適切な判断はできるはず。知事が具体的な指示したとは思えない。

■斎藤知事は「漏えいに関する指示」を改めて否定
28日の会見で斎藤知事は改めて「漏えいに関する指示」を否定しましたが、これについて記者団からは繰り返し追及された。
Q(知事からの指示について)総務部長が虚偽を言っている?
斎藤知事:昨日も今朝も申しあげましたけどもそれぞれの立場でそれぞれの認識を述べられたのだと思う。
Q知事自身に誤解につながるような発言もなかった?
斎藤知事:そういうことです。

■「責任を取らず組織の長として失格」と地方政治に詳しい法政大学の白鳥浩教授
斎藤知事の対応について、地方政治に詳しい法政大学の白鳥浩教授は、「斎藤知事が第三者委員会の結論を認めないのはあり得ない。責任を取らず組織の長として失格。個人の理屈ではなく、組織や県民の立場を考えればちゃんとした責任を取るべき」と指摘した。

■「第三者委員会の判断を尊重すべき」
newsランナーに出演したジャーナリストの鈴木哲夫さんは、「第三者委員会の認定を尊重すべき」だと述べた。
鈴木哲夫さん:事実関係として『指示をしてやれ』と言ったわけではない。第三者委員会という客観的な状況判断で、『実質的な指示』と言ってもいいと認定したわけです。 第三者委員会というものは尊重しなきゃいけない。
また、「議会」の責任も大きいと指摘します。
鈴木哲夫さん:地方自治体は二元代表制。知事も県民が選ぶ。その知事をしっかりチェックしてくれということで、同じ県民が議会の議員を選ぶ。つまり議会が行政をしっかりチェックしていく。ここまで問題が大きくなってグダグダしてるということは、次はやっぱり 議会がしっかりチェックしなきゃいけない。
議会が不信任を出す、(知事が)議会を解散することもありえますが、しっかりとしたけじめを議会がつける番。会派によって(意見が)違うようだが、議会が試されている。その場面に来ていると思います。
(関西テレビ「newsランナー」 2025年5月28日放送)
