江戸時代から続く黒豆の卸店が、泊まって、歩いて、食べて。
地域の魅力を体験する試みを始めました。

1734年創業の老舗黒豆卸店が、約300年の時を経て5月から宿泊業に挑戦。

そこには、地域を代表する企業が旗振り役となり、地元の伝統的な食文化を未来に継承しながら、街の仲間とともに地方創生を目指す新たな形がありました。

兵庫県の中東部、丹波篠山市にある黒豆の老舗、小田垣商店。
地元の特産品である丹波の黒豆「丹波黒」を求め、各地から連日多くの客が訪れにぎわっています。

小田垣商店は5月17日、敷地内にある国の登録有形文化財に指定された建物を、1日1組限定の1棟貸しの宿泊棟として開業しました。

大正時代から残る内装を生かした客間。
リビングの雪見障子の先には、石庭が広がっています。

滞在中には、指先の感覚を頼りに一粒一粒手作業で品質を見極める黒豆の選別作業を間近で目にし、ゆっくりとくつろぎながらも黒豆栽培が盛んな丹波篠山の文化を五感で堪能。

さらに街を回遊してもらうことで、地域が潤うように夕食は連携している仲間の飲食店で、地元のおいしい魅力を満喫してもらうようにしています。

所有する老舗企業のみならず、地域にとってもかけがえのない財産。
登録有形文化財を宿泊施設として活用する新たな試み。

小田垣商店・小田垣昇社長:
すべての地域に、その地域にキラリと光る魅力がある。その魅力を地域の方(企業)が再発見し、それを磨いて発信をすることがすごく(老舗企業の)強み。

これまで丹波篠山市といえば、大阪や京都、神戸からそれぞれ約1時間程度でアクセスでき、その土地柄、日帰り客が多くを占めていました。

地元の老舗企業の新たな発想によって、観光客には長期滞在を促し、周囲の企業も巻き込みながら街の魅力・ブランド力の向上を目指しているのです。

小田垣商店・小田垣昇社長:
古くある会社はその地域で信頼も人脈もございます。信頼と人脈を生かし、多くの仲間と一緒に活動することが強み。(目標は)この田舎の丹波篠山を元気な状態で、未来まで次世代につないでいく。我々の取り組みが1つのモデルとなり、全国の地方が元気になることがゴールです。