財界人や有識者らによる政策提言組織「令和臨調」が主催する超党派の国会議員による会議が27日、国会改革や経済財政・社会保障などに関する議論の中間報告を発表した。
首相の出席を限定した効率的な国会運営、財政健全化の実現や経済・財政の長期予測組織の設置検討、首都機能移転の議論再開などを提言している。
与野党各党の議員が、政策や国家ビジョンについて議論を進めてきたもので、少数与党での政権運営・国会運営が続く中、夏の参院選後の新たな与野党連携や政策づくり、政治改革などに影響を与える可能性もある。
自民党の木原選対委員長、立憲民主党の菊田議員、日本維新の会の藤田前幹事長が共同座長、立憲の奥野議員が事務局長を務めた統治構造・政治改革に関する部会は、「熟議と効率の両立に向けた国会改革の早期実現」と題した提言を行った。
具体的には提出法案を審議にかけない「吊るし(つるし)」の自粛、計画的な審議と月1回の党首討論の活用を前提にした首相の国会出席限定、与党による法案事前審査の慣行是正、会期を定めない通年国会の検討などを打ち出した。
自民の小渕元経産相、立憲の大串代表代行、公明の竹谷代表代行が共同座長を務め、自民の斎藤元経産相が事務局長を務めた経済・財政・社会保障部会は「経済成長と財政健全化の両立」、「経済・財政・社会保障の将来像の見える化」、「全世代が活躍できる社会の実現」を掲げた。
具体的には、経済成長を実現する中で財政健全化を確実に実現し、「日本の経済・財政に対する市場の信認を確実にすること」や、「政府から独立した経済・財政に関する長期予測等を担う組織」の設置検討、「子ども・子育て予算倍増に向けた安定財源の確保と支援策のさらなる充実」、「働く現役世代の逆進的な社会保険料負担の改善」などを提言した。
人口減少・地域・国土構想に関する部会(古川禎久氏、重徳和彦氏、古川元久氏、武部新氏ら)は、「日本をリ・デザインする」と題し、「首都機能移転の議論再開」、「無居住地や空き家の激増による国土荒廃を防ぐための国土活用・管理法制定」などを提言した。
科学技術・イノベーションに関する部会(御法川信英氏、大島敦氏、大野敬太郎氏ら)は、科学技術と政治経済を不可分としてその溝を埋めていくことや、リスクに対する過敏さの見直し、先手の立法によるイノベーション促進などを提言した。