さまざまな物の価格が上がる中、「物価の優等生」とも言われた卵の価格も高騰しています。
一体いつ落ち着くのか、取材しました。
ご飯の上にふわふわの卵を敷き詰め、揚げたてのトンカツを乗せたその名も「かつ玉丼」。
福岡市中央区今泉にあるカツ丼専門店の看板メニューです。
◆とんかつ わか葉 今泉店 荒木将雄 店長
「うちはサクサク感を楽しんでもらうというのが目的なので、他のお店とはちょっと違う形になっております」
この日もランチタイムを過ぎた後も客足が途切れません。
◆来店客
「友人が東京から来たので、ぜひ食べさせたいなと思って」
「めちゃくちゃおいしくて友人に感謝しています」
1日に200人以上が訪れる人気店ですが、このところ卵価格の高騰が深刻な打撃となっています。
1日に使う卵は約1000個。
現在は水道費を削減するなどして、値上げをしないよう踏みとどまっています。
◆とんかつ わか葉 今泉店 荒木将雄 店長
「(今年)1月で10キロ、3000円弱だった卵が、もう今の現時点では4000円を超えている。1月と比べると、1カ月あたり13万から14万円の損失が出ている」
「JA全農たまご」によりますと、27日の福岡の卸売価格はMサイズ1キロ当たり340円。
これは「エッグショック」と呼ばれた2023年の価格に肉薄する価格です。
卵価格の高騰を巡っては食品大手のキユーピーが26日、マヨネーズ類30品目の値上げを発表し、代表商品の「キユーピーマヨネーズ」は9月1日出荷分から520円から559円に上がります。
卵価格の高騰に大きな影響を及ぼしているのが、高病原性の鳥インフルエンザです。
今年に入り愛知や千葉で大量のニワトリが殺処分されたことで、九州の卵が他の地域に流れ、高値につながっているとみられています。
卵価格は今後どうなるのでしょうか。
◆元東京農業大学教授 信岡誠治さん
「今年の1月から新たに卵を産むひなの数が増えてきています。それが本格的に産み始めるのが大体半年かかるので、7月ごろになれば卵の価格は少し落ち着いてくるのではないか」
卵の価格に気をもむ日々がしばらく続きそうな中、県内の養鶏業者は複雑な心境のようです。
◆野上養鶏場 藤井豪 社長
「卵の値段を上げると正直、文句は出る。でも文句言われた通りにしてしまうと、卵が出せない」
鞍手町にあるこの養鶏場では、ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響で飼育費用の3分の1を占めるエサの価格がここ4年で2倍にふくらみ、光熱費の高騰などもあり、厳しい経営状況が続いているといいます。
◆野上養鶏場 藤井豪 社長
「経営は圧迫はすごくある。エサ業者の情報ではどんどん(養鶏家が)やめている。結局出しても損するのでしない方がいいとなる」
そして常に抱えているのが鳥インフルエンザのリスクです。
国は鳥インフルエンザが発生した養鶏場に対し、事業再開に向けた補助金を支給していますが、専門家はその支給時期に問題があると指摘します。
◆酪農学園大学 日向貴久 教授
「お金が支給されるまでの期間がそんなに短くないと聞いている。十分な手当てがされるとなっても、1年後とかだと1年後までどうやってつなげばいいのかって話になってしまう。公的な支援を本当に1日でも早く給付するのが求められる」