「ローン・オフェンダー」という言葉をご存知でしょうか。特定の組織に属さず、個人でテロ行為を行う人物を指します。例えば2022年の安倍元首相の銃撃事件や2023年の岸田元首相の襲撃事件の犯人がこれに当たります。この「ローン・オフェンダー」による犯罪を未然に防ぐため、23日、警察が不動産業者を訪問し、管理物件に不審な動きが見られた場合にはすぐに通報するよう呼びかけました。
23日は、福井南署の警備課長らが福井市内の不動産業者を訪問。▼深夜・早朝問わず金属音や工作音がする▼家庭ごみに大量の薬品ビンなどを捨てている、といった具体的な不審な動きが書かれたチラシを手渡し、該当する物件があった場合にはすぐに警察に通報してほしいと伝えました。
要請を受けた不動産業者は「今まではそれぐらいでは通報するには至らないという判断をしていたが、今日の話を聞いて些細なことでも相談してみたいと思った」と話していました。
ローン・オフェンダーによる事件の代表的な事例である安倍元首相銃撃事件の被告は自宅マンションの部屋の中で1人で銃を作っていました。もし、部屋の異変にいち早く気付いていれば、事件を未然に防げた可能性があります。
こういった事件を受け、2025年4月、警察庁は全国の都道府県警に対し不動産業者に「ローンオフェンダー」などによる犯罪防止の啓発活動を行うよう要請しました。今後、福井南署をはじめ県内の各警察署が不動産業者を対象にした啓発活動などを行っていくということです。
福井南署の警備課長は「警察としては、ローン・オフェンダーを発見し事件を未然に防ぐために取り組んでいる。少しでも変だ、不審だと思われるような事例があったら警察の方に連絡してほしい」と話しています。
警察によりますと、アパートやマンションでの不審な動きをいち早く通報することは、ローン・オフェンダー以外の犯罪を防ぐことにもつながるといいます。例えば、匿名・流動型犯罪グループ、いわゆる「トクリュウ」の拠点を突き止めたり、大麻などの違法薬物の栽培を発見できたりということで、異変を感じたら些細なことでも警察に情報提供してほしいとしています。
