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プレスリリース配信元:株式会社帝国データバンク

企業価値担保権に対する企業の意識調査(2025年4月)




株式会社帝国データバンクは、全国2万6,590社を対象に「企業価値担保権」に関するアンケート調査を実施した。なお、企業価値担保権に関する企業の意識調査は、2024年9月に実施し今回で2回目
SUMMARY
企業価値担保権の認知度は35.1%と前回調査(2024年9月)より6.8ポイント上昇。ただし、半数以上の企業に認知されていない状況が続いた。活用意向のある企業は28.6%で、「事業性に着目した評価」を理由とする企業が多い一方で、「自己資本」「既存の融資」で十分といった理由で活用意向のない企業は26.5%だった。制度の周知不足や金融機関による評価の難しさなどの課題があり、今後の制度の詳細設計や普及に向けた取り組みが重要となる。


調査期間:2025年4月16日~4月30日(インターネット調査)
調査対象:全国2万6,590社、有効回答企業数は1万735社

認知度は35.1%に上昇も、「知らない」企業が依然として半数超

企業価値担保権の認知状況について尋ねたところ、認知度は35.1%(前回調査28.3%)と前回調査より6.8ポイント上昇し、3社に1社が制度を認識していた。その内訳は、「制度の内容を含めてよく知っている」が0.6%(同0.5%)、「制度の内容を含めてある程度知っている」が6.9%(同5.3%)、「名前は聞いたことがあるが、制度の内容は知らない」27.6%(同22.4%)だった。






他方、「知らない(名前も聞いたことがない)」とする企業は50.7%(同56.5%)と、前回調査に続き半数の企業が知らない状況となった。

『活用意向あり』企業は3割弱

自社において金融機関から融資を受ける際に、企業価値担保権を活用したいか尋ねたところ、「活用したいと思う」は3.7%(前回調査3.8%)、「今後検討したい」は24.9%(同22.9%)で、両者を合計した『活用意向あり』企業は28.6%(同26.7%)だった。前回調査よりやや増加がみられ、企業からは「今後一段の成長を目指すために、企業価値担保権の活用についても検討したい」(建設、兵庫県)や「自社の事業性を第三者の目で見てもらうことになるので、修正や見直しなどを考えるきっかけになる」(運輸・倉庫、愛知県)などの前向きな声が寄せられた。


他方、「活用したいと思わない」は26.5%(同26.7%)で、企業間で見解が分かれた。






また、「分からない」が44.8%(同46.6%)と依然として4割以上を占めており、認知度の低さがこうした結果に結びついていると考えられる。


認知度と活用意向の関係をみると、「制度の内容を含めてよく知っている」企業では約2割の企業で「活用したいと思う」(19.7%)と考えており、内容をよく理解している企業ほど活用意向が高い結果が表れた。


活用理由「事業性に着目した評価」がトップ、「自己資本」「既存の融資」で十分といった意向も根強い

企業価値担保権を活用する意向のある企業に対して、その理由を尋ねたところ、「自社の事業性に着目した評価に基づき融資を受けたいため」とする企業が66.4%と突出して高かった。企業からは「担保が少なく実力がある企業にはメリットのある制度と思う」(化学品製造、神奈川県)といった声が聞かれた。以下、「金融機関とより緊密な関係性を構築したいため(伴走支援を受けるため)」(34.4%)と「事業承継等を見据えて、経営者保証を解除したいため」(26.6%)が続いた。






他方、企業価値担保権を活用したいと思わない企業に対して、その理由を尋ねたところ、42.3%の企業が「自己資本で必要な資産をまかなえているため」と回答し最も高かった。次いで、「現在利用している融資手法(不動産担保、経営者保証による融資を含む)で充足しているため」が36.0%、「金融機関と既に緊密な関係性にあるため必要がない」が23.4%で続いた。


企業の声として具体的には、「金融機関への過剰な情報開示が負担」(専門サービス、東京都)や「企業価値とは曖昧な言葉であり、結局のところ主観に委ねられた価値判断をされるのではないかという疑問がある」(紙類・文具・書籍卸売、新潟県)などの意見があがった。


企業価値担保権、2026年春施行へ 新たな資金調達手法に期待と課題

企業価値担保権は、不動産担保や経営者保証に過度に依存しない新たな資金調達手法として注目され、2026年春頃の施行が予定されている。事業者の将来キャッシュフローや無形資産を担保にできる点が特徴であり、企業の総合的な価値に基づく資金調達や、金融機関による経営改善支援が期待されている。


しかし、その認知度は上昇基調にあるものの現状では35.1%にとどまり、活用意向も3割弱と限定的である。活用したい理由としては、「事業性に着目した評価」が最も多い一方で、「自己資本で充足」「既存の融資で十分」といった理由から活用しない考えの企業も少なくない。また、金融機関による評価の難しさや担保価値の変動性、既存担保との関係、企業側の準備負担、情報開示の必要性などといった点も施行に向けて考慮すべきであろう。国や金融機関からのさらなる制度の具体的な内容周知も必要といえる。


制度への期待がある一方で、多くの企業が認知していない現状を踏まえ、今後の制度の詳細設計や全国の地域金融機関や商工会議所などを通じた普及に向けた取り組みが重要となる。

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