ショートでは映画『グレイテスト・ショーマン』のプログラムを披露する。3つのジャンプを全て着氷させ、目標のショート通過を果たした。

籠谷の演技中にウォームアップをしていた坂本は、彼女の「ショート通過」の結果を知り号泣したという。

初出場した2018年の全日本
初出場した2018年の全日本

坂本は「『籠谷歩未 51.09 Q(通過)』というのを見て。フリーできることを知って、うわーっ!てなって泣いた。普通に泣いた。一緒に出られることはすごく心強い」と喜びを爆発させていた。

籠谷は目標のショート通過を果たし総合23位。そして坂本は高校3年生にして当時ライバルだった宮原知子さんや紀平梨花を抑え、全日本を初制覇する。

初出場の籠谷と初優勝の坂本、2018年の全日本は2人にとって忘れられない大会となった。

再び上がった全日本の舞台

全日本初出場翌年の2019年、籠谷は西日本選手権で総合14位、続く2020年の西日本選手権も12位に終わる。結果がふるわず、しばらく夢舞台への道が遠のいていた。

そんな中、2021年に再びチャンスをつかむ。

「西日本のフリーが自分の中で、一番緊張する。どういう精神状態で本番ができるかがすごく重要」

そう語った籠谷は、勝負のフリーで7つのジャンプをノーミス。本番でしっかりと実力を発揮し自己最高位の4位につき、3年ぶりに全日本へ駒を進めた。

3年ぶりに出場した2021年の全日本
3年ぶりに出場した2021年の全日本

3年ぶりの全日本となった2021年。

ショートでは2シーズン前の坂本も使用していた『Baby, God Bless You』をノーミス。

籠谷の演技を見守る坂本
籠谷の演技を見守る坂本

続くフリーでもスピード感のある滑りと力みのないジャンプで総合20位。演技後は歓声に包まれた。

籠谷の演技を見守った坂本は、2度目の優勝とともに北京オリンピック出場権を獲得した。

悔しさを味わった転機の2022年

大学4年生となった籠谷にとって、ターニングポイントだったのが2022年。

大学最終学年は、節目を迎えた選手や新たな目標に向かって進む選手など、さまざまな思いが渦巻くタイミングだ。

2022年の籠谷
2022年の籠谷

学生生活最後の全日本出場がかかった中、迎えた西日本選手権。

フリーでは、ジャンプのミスが重なり10位。通過ラインまであと一歩届かず、全日本への出場は叶わなかった。

籠谷は「この悔しい思いを忘れないようにしたい」とこぼした。