「県都」富山市の自民党が揺れています。
次期衆院選の公認候補となる富山1区の支部長をめぐり、自民党富山市連は20日、総務会で現職の田畑裕明衆院議員を選任しない方針を決定しました。
決定の仕方は投票、異例ともいえる「現職外し」に会合は紛糾、怒号が飛び、退席者が相次ぐ展開となりました。
20日夜、開かれた自民党富山市連の総務会には県議や市議のほか校下支部の支部長・幹事長など94人が出席。
空席となっている衆院選富山1区の支部長について、冒頭、執行部が、田畑議員が不適切な党員登録問題について説明責任を果たしていないとして選任しない考えを示しました。
*自民党富山市連 中川忠昭支部長
「田畑議員に説明責任を果たしてくれと明言しているが、市連の県議市議や県連に対し未だに説明はない。そのような状態の中で、熱心に応援してくれる人に胸を張って(支援のお願いを)言える状態ではない。常任総務の声を、思いを前回も話をした、そのことを理解いただき結論を出したい」
執行部の方針に対し、一部の校下支部から、田畑議員を擁護する意見や結論を急ごうとする考えに反発の声があがった一方、賛成意見も出され会合は紛糾しました。
*出席者
「このタイミングで第1区支部長選について議題にすること自体理解に苦しむ。富山市中に市連がぐらついている印象を植え付けるだけではないか田畑議員以外を選任することには明確に反対」
「党内の評価をいまここで台無しにするにはあまりにも惜しい。田畑議員が培ってきたものを生かしながら、それが富山県のためになる」
「再度田畑議員が現職だから優先ということで選挙に臨んだ場合には、有権者の声がわかっているのかということで、逆に大変な批判を浴びて悲惨な結果になりかねない」
議論は堂々巡りとなり、結論を出そうとする執行部が投票で採決を進めたため、大荒れの展開となりました。
会合の途中、反対する出席者が退出し…。
*退出した出席者
「とにかく何を焦っているのかという思い。すべての責任を田畑議員に押し付けているというイメージを持った」
怒号が飛び交う中、最終的に、執行部が投票を強行し、開票の結果、有効投票数78に対し、田畑議員、不支持が58人、支持が20人となり、支部長に推さない方針が決まりました。
*自民党富山市連 中川忠昭支部長
「本当に残念でならない苦渋の選択。しかしいまの現状をみているとそこを破らないと有権者の信頼を得て自民党に対する、自民党の候補者に対する理解が得られない。反対者もいたがこの結果を受けて取り組んでいきたい」
今月25日の総会で承認が得られれば、県連を通じて党本部に上申する考えで、後任の支部長については、参院選後に決めたいとしています。
政治担当の前田記者です。
田畑議員をめぐる問題は、去年から続いていますが、それに自民党が振り回されている感がありますね。
今回のごたごたぶりは、まさに去年秋の衆院選をめぐる騒動が思い起こされます。
今回、富山市連の執行部、県議会と市議会の議員ですが…
結論を急いだ背景には、2か月後に迫る参院選の厳しい情勢があります。
関係者によりますと、自民党が先月行った調査では田畑議員の一連の行動について問題があると回答した人は自民党支持層の中でも半数以上を占めたということで、党内には、危機感が強まっています。
こうした状況から、反発を招いても、田畑議員を支部長に選任しないことは、今後、選挙を戦う上で、県議、市議にとって必要な対応でした。
一方、校下支部の中には、田畑議員の国会議員としての実績を評価すべきという考えがある上に、参院選の情勢については、少数与党で劣勢の党本部の問題であり、田畑議員の影響とは言い切れないとの意見があり、折り合いがつかなかったようです。
支部長選任問題、今後どうなりますか。
富山市連は、今月25日の総会で承認が得られれば県連に上申し、田畑議員不選任の方針を党本部に伝える予定です。
ただ、県連幹部によりますとこれまで支部長の選任は「現職優先」の原則があり、田畑議員を支部長選任の俎上から外すことについて党本部が了承するかは不透明です。
田畑議員もテレビ各社の取材に対し、「選挙区支部長の選任権限は党本部にある」とコメントしています。
自民王国の「県都」は、党内が「一枚岩」になれないまま夏の参院選が近づいています。
ここまで自民党の衆院選富山1区支部長問題についてお伝えしました。