車をバック走行させ、女性2人をはねて死傷させたとして危険運転致死傷罪などに問われている男の裁判員裁判について、2日目の5月20日は亡くなった女性の父親が法廷で意見を述べ、「地獄のような喪失感と無念の毎日」と今の心境を語った。
争点は『危険運転』に当たるかどうか
元ホストクラブ従業員・松本岳被告(24)は2024年6月15日の早朝、熊本市中央区細工町の県道で、酒気を帯びた状態で軽自動車を運転しトラックに追突。

現場から逃走しようと、車の走行を制御することが困難な時速70キロ以上で約240メートルにわたって車をバックで走行させた後、歩道に突っ込み、熊本市職員の横田千尋さん(当時27)を死亡させ、横田さんの友人の女性にけがをさせた罪に問われている。

5月19日から始まった裁判員裁判で、弁護側は危険運転致死傷罪には当たらないと主張している。
「一生許せない」「被告を許せない」
20日は被告人質問が行われ、弁護人から飲酒運転の経緯について聞かれた松本被告は「〈事故を起こさないだろう〉という軽い気持ちだった」と述べた。

一方、反対尋問で検察から高速度でバック走行した時の状況について尋ねられた松本被告は「事故を起こすのが恐くて、途中でブレーキを踏んだ」と述べ、さらに「危険を感じたか」と問われると「本当に怖いと思った」と話した。

また、午後からは被害者の意見陳述があり、ケガをした女性は「かけがえのない親友である横田さんのことを考えない日はない。一生、許せない」と述べた。

亡くなった横田さんの父・邦祐さんは、「被告の無謀な運転で娘を亡くし、地獄のような喪失感と無念の毎日。何の落ち度もなかった娘を死なせた被告を許せない」と厳しい処罰を求めた。

裁判は21日結審し、判決は5月27日に言い渡される予定。
(テレビ熊本)