警察署から出てくる1台の警察車両。
後部座席に乗っていたのは、手で顔を覆い隠した中国籍の王洪利容疑者(25)。
5月14日、埼玉・三郷市で下校途中の小学生4人が車にはねられてけがをしたひき逃げ事件で、逃げた車に乗っていた男です。
そして、もう1人。
警察署から現れたのは逃げた車を運転していた鄧洪鵬容疑者(42)です。
19日朝、2人は検察に身柄を送られました。
これまでの調べで事件の前、鄧容疑者が三郷市内の飲食店で酒を飲んだ疑いがあることが判明していましたが、その後の捜査関係者への取材で、2人が事件当日、午後2時前から1~2時間ほど中華料理店で一緒に酒を飲んでいたとみられることが新たに分かりました。
発生から4日が経った18日午前8時半過ぎ、事件は急展開しました。
吉川警察署の駐車場に止まったタクシーから降りてきたのは、マスク姿の鄧容疑者です。
右手にペットボトルを持ち、女性に付き添われながら警察署に出頭した鄧容疑者。
数人の捜査員に囲まれ真っすぐ前を向いて、警察署に入っていきました。
鄧容疑者がタクシーに乗ったのは、出頭した吉川警察署から約14km離れたJR西川口駅。
鄧容疑者を警察署まで送り届けたタクシーの運転手が取材に応じました。
鄧容疑者を警察署まで送り届けたタクシーの運転手:
(JR西川口駅から)乗ってきて吉川警察署までって言われて向かった。
警察署までの道中、車内の鄧容疑者の様子についてはこう振り返ります。
鄧容疑者を警察署まで送り届けたタクシーの運転手:
男性(鄧容疑者)は前に乗せて、女性の方2人が後ろですね。(Q.会話は中国語で?)そうですね。男性(鄧容疑者)はしゃべらなかったですから。とにかく汗ずっと拭いてたような感じ。とにかく乗ってきた時から汗かいてて、暑いですか?っていうことで冷房をちょっと強めにして。水をひたすら飲んでたような感じですね。そんな暑いって感じじゃなかったのに。(同乗した女性が)“暑がりなのよ”みたいなことを言っていましたね。
出頭を前に緊張していたのか、鄧容疑者からは汗が吹き出し、しきりに水を飲んでいたといいます。
また、鄧容疑者と同じアパートに住む女性は、鄧容疑者の印象について「風貌は怖いけど礼儀正しい方なんだなって。怖さとか異様さとかそういうのは全くなかった」と話しました。
なぜ鄧容疑者は事故後、けがをした小学生を置き去りにして現場から逃走したのでしょうか。
鄧容疑者の供述:
ぶつかったことに間違いないが、相手が「大丈夫」と言っていたのでその場から離れただけ。
警察は飲酒運転の発覚を免れようと逃走したとみて、事件現場から逃げた経緯などを詳しく調べる方針です。