「ランドセル症候群」とは、小学生が重い荷物を背負って通学することで、筋肉痛や肩こりだけでなく憂うつ感などの症状も引き起こすことをいう。専門家は重さ3キロ以上で“通学ブルー”になる可能性があると指摘する。2026年入学に向けたランドセル商戦が本格化する中、専門家に対策や注意点を聞いた。
「ラン活」が本格化 品切れの商品も
子ども:
「これ背負ってみる」
「やっぱりハートが下についている方がいい」
長野市の百貨店、2026年入学に向けたランドセル商戦が本格化している。
保護者:
「どれか他のも背負ってみる?」
保護者:
「周りの子たちも、もう買っている子がいっぱいいたので、慌ててきょう買いに来て」
「もう4月くらいからパンフレットとかも出てるって聞いて、見に行ってみようかなって」
近年は、人気モデルがすぐに売り切れるなどの理由でランドセル商戦・ラン活が早まっている。
こちらの売り場も3月から通常時の2倍以上となる250点の商品を取り揃えて対応しているという。

百貨店ランドセルアドバイザー・佐分幸二さん:
「今年の場合、3月~4月にかけてのお客さまは非常に増えている。全部が全部なくなるわけではないけど、早いものはゴールデンウィーク明けから品切れが始まっています」
“ランドセル症候群”に注意
5月10日には選ぶ際のポイントを解説する「ランドセルセミナー」も開かれた。
百貨店ランドセルアドバイザー・佐分幸二さん:
「皆さまは“ランドセル症候群”というのをご存じでしょうか?」

注意点として挙げられたのが「ランドセル症候群」。
あまり聞き慣れない言葉だが。
ランドセルの重さ研究・大正大学 白土健 副学長:
「言ってみればですね、“通学ブルー”と考えていただければ」

ランドセルの重さに関する研究を行っている大正大学の白土健副学長。
白土副学長によると「ランドセル症候群」は体に合わない大きさや重さのランドセルを背負って通学することで筋肉痛や肩こりなどの体の痛みが生じ、さらに、それに伴って通学自体が憂うつに感じることを言う。
数年前から使われ始めたということだ。
背景にあるのは登下校時の荷物が年々、重くなっていること。
教科書のページ数や副教材の増加、熱中症対策で水筒などを入れていくことも多くなっている。
3キロ以上で“症候群”になる可能性
実際、2024年学校用品などを販売するフットマークが小学1年から3年までを対象に行った調査では90%以上が「通学時にランドセルが重いと感じる」と回答。平均の重さは4.13kgだった。
3kg以上でランドセル症候群になる可能性があるという。

ランドセルの重さ研究・大正大学 白土健 副学長:
「背骨が痛い、腰が痛い、小学校低学年の体重20kgぐらいの方が、4kg以上、中には6kg・8kgとか持つ場合もある。ずっしりとランドセルの重みを感じて、家を出るときに通学ブルーになってしまう。もうランドセルを背負った瞬間に、『あーやだ、行きたくないな』というふうに感じてしまう」
感じる重さを軽減できる工夫に注目
ランドセル症候群の対策は?
最近は軽いランドセルが注目されている。
保護者:
「軽くて丈夫なやつがいいかなと思いました」
「一番は本人の好きな色で、あとはやっぱり軽さですかね」

負担を減らす工夫を凝らしたものも。こちらは体とランドセルを密着させ負荷を分散させるチェストベルト付き。
また、中身が背中側で固定できるバンド付きのモデルも登場している。
いずれも感じる重さを軽減できる効果がある。

ランドセルの重さ研究・大正大学 白土健 副学長:
「体にフィットさせて、登山のリュックサックをイメージしてもらえれば。背中にいかに圧着させるか、背負うだけでなく、お腹の周りでベルトを着けて圧着させる」
体に合ったものの選び方は
セミナーでも子どもの体に合ったランドセルの選び方や背負い方を解説した。
百貨店ランドセルアドバイザー・佐分幸二さん:
「まず、肩ベルトの穴の位置、これが重要になってきます」

ポイントは「ランドセルと背中に隙間ができない」「肩にベルトがきちんと乗る」こと。
セミナーを参考にランドセルを選ぶ―。
子ども:
「どうしよう?」
保護者:
「色はこの色がいい?」
子ども:
「こっち」

選んだのはピンクのハートが付いたランドセル。
子ども:
「(どこがかわいかった?)ハート」
保護者:
「背中がぴったりくっついているのが選ぶ基準になるよって言っていたので、参考にできたなって思います」
ランドセルの重さ研究・大正大学 白土健 副学長:
「ある程度親御さんの方でデザイン・色・価格・機能のことなどを事前に調べた上で、3~5くらい商品を絞り込んでからお子さまと一緒に、お子さまが主体になって選んでいるよというふうに持って行って選ぶのが一番いい」
時間割を見て、荷物を減らす対策を
さて、軽くて機能的なランドセルを選んだとしても入れる荷物が重くては負担が増えてしまう。
白土副学長は、特に低学年のうちは保護者も一緒になって荷物を減らす対策が必要と指摘する。
ランドセルの重さ研究・大正大学 白土健 副学長:
「ランドセル自体の重さというより、ランドセルの中身。お子さんは時間割を見て教材を入れればいいが、だいたい重い重い言っている人はすべての教科を入れている。親御さんが一緒に見て、これは明日、関係ない科目だから置いていきなさいとか、時間割を見て教材を入れる習慣をつけさせればいい」

6年間のパートナーとなるランドセル。「症候群」に注意して選んだり、入れる荷物を減らしたりすることが重要だ。
(長野放送)