御船町恐竜博物館は約30年前に熊本・御船町で見つかった翼竜の化石が、新属新種であることが判明し、『ニッポノプテルス・ミフネンシス』と命名されたと、5月13日に発表した。国内で見つかった翼竜の化石で『学名』がついたのは初めで、発表された直後に御船恐竜博物館のホームページはアクセスが急増したためか、閲覧できない状態になっていた。

「世界で見つかっていない新しい翼竜」

熊本・御船町にある御船町恐竜博物館は、県内外から家族連れなどが恐竜の化石などを見に来ていた。訪れた子どもは「迫力があるところがかっこいいと思います」と話す。

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そんな御船町恐竜博物館の池上直樹主任学芸員は「以前から見つかっていたアズダルコ科の翼竜(の化石)だと分かっていたものだが、その化石を詳しく調べた結果、まだ世界で見つかっていない新しい種類の翼竜だということが分かった」と新発見があったことを話してくれた。

これは約9000万年前の後期白亜紀の地層から1996年に発見された翼竜の化石。長い首と翼を持つアズダルコ科の翼竜の頸椎の骨で、長さ6.5センチ、幅2.5センチと小さな化石だが、実在していた翼竜の大きさは、翼を広げると約2メートルに及ぶとされている。

発表された5月13日の直後には御船恐竜博物館のホームページは閲覧ができない状況が翌日朝まで続き、原因は分かっていないものの、アクセスが急増したことなど複合的な要因が考えられるという。

発見から約30年で新属・新種と判明

この化石が見つかったのは博物館から約7キロメートル離れた天君ダムの上流。池上直樹主任学芸員は「川が下に見えているが、地層の一番上の川底が残っていたところから(化石が)発見された。1996年3月の御船町恐竜化石調査委員会で実施した発掘調査で発見された」と話す。

当時は、翼竜の化石が少なく、アズダルコ科の翼竜ということしか分かっていなかった。今回、御船町恐竜博物館や熊本大学などの研究チームが、CTスキャナーによるデータなどに基づき詳しく調べたところ、その特徴から9つの頸椎の骨のうち6番目の骨と判明。

その上で他の翼竜の頸椎の骨とは特徴が異なることから、新属・新種であることが分かり、『御船産の日本の翼』という意味を持つ、『ニッポノプテルス・ミフネンシス』と命名されたという。

翼竜の化石は国内では熊本を含む9道県から断片的なものしか見つかっておらず、国内で発見された化石に基づいて命名された翼竜は初めて。

熊本・御船町にも約9000万年前には恐竜が

発表後に御船町恐竜博物館を訪れた人は「過去のこと知るために来た。純粋だけど。地元の昔の環境が分かる」と話した。

また、池上主任学芸員は「海に面した平野が広がっていた(と思われる御船町に)恐竜たちがいたり、翼竜が空を飛んでいた、そんな風景だったのでは」と、約9000年前に思いをはせた。

また、「今まで世界で知られていないものが、この御船にいたことが分かり大変感動する。うれしい」と述べた。

(テレビ熊本)

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