神奈川・川崎市でストーカー被害を訴えていた女性が元交際相手の自宅から遺体で見つかった事件で、女性の遺体が見つかるまで、神奈川県警で行方不明失踪事件を担当する刑事部捜査一課に女性の事案について情報共有されていなかったことが新たに分かりました。

この事件は2024年12月、ストーカー被害を訴えていた岡﨑彩咲陽さん(20)が行方不明になり、2025年4月30日、元交際相手の白井秀征容疑者(27)の自宅で遺体で見つかったものです。

岡﨑さんは行方不明になる前、白井容疑者からのストーカー被害について複数回、警察に相談していました。

その後の取材で、岡﨑さんの遺体が見つかった4月30日まで、神奈川県警では行方不明失踪事件を担当する刑事部捜査一課に岡﨑さんの事案について情報共有されていなかったことが新たに分かりました。

県警内での連携に不備があった可能性があることから、警察庁は「規律違反があった場合は処分を検討する」としています。

女性の命にも関わるような重要な情報がなぜ警察内で適切に共有されていなかったのか、上法玄解説委員と見ていきます。

青井実キャスター:
上法さん、県警の連携に不備があったということですか。

上法玄解説委員:
あってはならないことだと思います。

青井実キャスター:
神奈川県警察本部では、ストーカー被害を担当するのが生活安全部。そして、行方不明失踪事件を担当するのが刑事部ということですが、通常は2つの部署が情報を共有するはずだったのが、これができていなかったと。

上法玄解説委員:
ストーカー事案は生安部門が相談を受けますが、事件性があれば刑事部門に情報共有をしなければいけません。警察庁の通達では、被害者に危害が加えられる危険性・切迫性を判断する必要性がある場合は、関係者に生活安全部門の担当者と刑事部門の担当者が共同で聴取を行うとされていますので、今回はこの通達に沿った動きにならなかったことがいえます。

宮司愛海キャスター:
上からの通達があったにもかかわらず、うまく対応できなかったという理由はどういったところでしょうか。

上法玄解説委員:
いろんなことが考えられます。個々人の職務怠慢、あるいは組織的な連絡系統の不備、こういったことが考えられるんですが、まさにそこが捜査の焦点となっています。

青井実キャスター:
時系列を見ていきますと、岡﨑さんは2024年9月に被害届を出し、その後、取り下げています。そして2024年12月、行方不明になる前に通報するなど警察と複数回接触しているわけですが、今回の場合、どのタイミングで情報共有すべきだったんですか。

上法玄解説委員:
これは、2024年12月20日に岡﨑さんが失踪した当日の岡﨑さんの部屋の状況を考えますと、ガラスが壊され何者かが侵入した形跡があったりとか、こういう状況から住居侵入と器物損壊の2つの形跡がありました。この時点で、刑事部門が捜査を始める明確な理由が発生していたのがポイントだと思います。しかも、ストーカー被害を訴えていた若い女性が突然いなくなったわけですから、刑事部門が即座に岡﨑さんの行方を捜す必要性があったといえると思います。

青井実キャスター:
柳澤さん、この対応どうみますか?

SPキャスター・柳澤秀夫氏:
明らかに連携が欠けていたというか、情報共有がね。これは警察本部だけではなくて、今回、所轄署が川崎臨港署ですけど、川崎臨港署の中の生活安全課と刑事課との間でどういう連携があったのか、なかったのか。それを上司として上から見ている署長がどういう対応をとっていたのか。所轄の対応も問われると思います。

宮司愛海キャスター:
もし、仮に自分が被害者になって警察に訴えることがあった場合、こういうことが起きるとどういうふうに訴えていいのか。例えば、「捜査一課と連携してください」みたいなことを併せて言ったほうがいいのか。

上法玄解説委員:
まさにそのとおりで、月並みですが、自分が受けた被害を明確に主張することが第一だと思います。やっぱり被害について被害届をきちんと提出する。その手続きにのっとって、生安部門の人と話しているのであれば刑事とも話したいと。そういうことを強く訴えることが大事だと思います。

青井実キャスター:
あってはならないということで、命に関わる連携ミスですが、警察はどのように防いでいくべきなんでしょうか。

上法玄解説委員:
やはり、横のつながり、横の連携というのが縦割り社会ですから、横の情報連携というのを密にしていくこと。これを努めてやっていくことが再発防止につながると思います。

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社会部
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