12日、スーパーでのコメの販売価格が18週間ぶりにわずかに値下げしましたが、依然として高値が続いています。
この価格高騰が、コメを原料とする様々な製品にも影響が及んでいます。現場を取材しました。
明治22年に創業し、「鷹来屋」のブランドとしても知られる大分県豊後大野市の老舗の蔵元「浜嶋酒造」です。
こちらでは日本酒を製造するため年間およそ9万トンのコメを使用しています。
そのうちの7割ほどを自社栽培で賄っていて、この日もことしの田植えに向けて苗づくりが進められていました。
一方で、残りの3割は県の内外から仕入れていて2024年から始まったコメ不足と価格高騰の影響は大きかったということです。
◆浜嶋酒造六代目 浜嶋康弘さん
「(コメを)仕入れたくてもなかなか仕入れることができず何とか見つけたが、その辺から苦労して、あとコメの価格が上がっていたのでなかなか厳しいところだった」
実際に現在の仕入れ値は2023年以前と比べると1.5倍以上に。
加えて、燃料費なども高騰しているため自社での生産コストも増え続けています。
このため浜嶋酒造では今後、日本酒の値上げに踏み切ることを検討しています。
◆浜嶋酒造六代目 浜嶋康弘さん
「商品の価格設定から販売経路も含めて、今アルコール離れも進んだりしているので、お米の高騰とダブルパンチで工夫していかないと難しい現状ではある」
農林水産省が12日発表した全国のスーパーにおけるコメの平均販売価格は4214円と18週間ぶりに値下げしましたが、その差はわずか19円。
前の年の同じ時期と比べてほぼ2倍という高値です。
政府が備蓄米を放出しても解消されないコメの価格高騰。
この影響で実際に値上げした製品もあります。
九州一のみその生産量を誇る臼杵市の「フンドーキン醤油」は製造している全てのみその価格を4月、6%から12%値上げしました。
こちらではコメと麦を使った「あわせみそ」がみその売上のおよそ7割を占めていて、コメの価格高騰が製造コストを直撃。
コメの仕入れ値が1キロ100円からこの1年で300円以上と3倍以上に膨らみ、価格を維持することは困難となりました。
◆大分みそ協業組合長誠一郎理事
「なかなか企業努力で納めきれないところまで来ているので大変申し訳ないが、値上げをさせてもらうことになった」
また、フンドーキン醤油では年間3300トンのコメをみそ作りに使用していますが、安定的な生産を維持するため今後は一時的に、アメリカからの輸入を検討しているということです。
◆大分みそ協業組合長誠一郎理事
「この先どうなるか心配だが、ただ品質の良い味噌を皆さんに届けたいという一心で頑張っていきたい」
価格高騰がほかの製品にも影響が広がる中、今後のコメの価格推移についてJA全農おおいたは「先月末ごろから県内でも備蓄米が流通し始めている。卸売業者などの価格設定にもよるが供給量が増えれば価格は徐々に下がるのでは」と話しています。