福島県福島市、JR福島駅西口の目の前にあったイトーヨーカドー福島店が閉店して1年が経った。いまだ今後のビジョンは決まらず、福島市の経済にとっても大きな影響を及ぼし続けている。
■タクシードライバー 売上減少
イトーヨーカドー福島店が閉店してから1年、駅周辺の人の流れにも大きな影響が出ていた。タクシープールでお客さんを待っていたこの道40年以上の高橋一充さんは、イトーヨーカドー閉店後に売り上げは2割ほど落ちたという。「買い物客以外にもタクシーの利用が減っています。買い物のお客さんがいないと、新幹線で来たお客さんくらいになってしまう。そういう点で、ずいぶんタクシーも売り上げはダウンしています」と高橋さんは話した。
■マイナスの経済効果
2024年5月6日、イトーヨーカドー福島店は惜しまれながら39年間の歴史に幕を閉じた。福島市によると、閉店前後でJR福島駅西口の通行量は平日・休日ともに3割以上減少。
地域経済を専門とする、桜の聖母短期大学の和田賢一教授は、福島市民の消費支出額の36%が市外に流出し、福島市にとって90億円を超えるマイナスの経済効果だと試算している。
■周辺店舗にも影響
旧イトーヨーカドーのすぐ隣に店を構える「テーラーうめみや」。店を経営する梅宮均さんによると、イトーヨーカドー閉店後に常連以外のお客さんは3割ほど減り、周辺でも経営を続けられなくなった店が目立ち始めたといいう。
梅宮さんは「この1年の間に、お客さんそのものが回らなくなってきた。私ら手の打ちようがないから」と話した。
福島駅周辺では、東口の再開発ビルも当初の計画から3年遅れて2029年度の開業方針と、駅前の空洞化が懸念されている。「こどもの日」には、まちなかでイベントも開催されてにぎわったが、このにぎわいを日常的に維持しなくてはならない。まちの象徴となるような店舗や施設の必要性をあらためて感じる。