石川県七尾市内で30年以上に渡って愛された惣菜店「じゃ~ま」。2024年元日の能登半島地震で店が全壊し閉店に追い込まれました。そんな人気店「じゃ~ま」がこのゴールデンウィークに1日限定で営業しました。

懐かしの味「復活の一日」にカメラが密着しました。「エンヤーエンヤー」青柏祭のでか山に沸いた七尾市内。その、「でか山」が動き出す少し前、朝6時からキッチンで作業をする女性がいました。蠏早苗さんです。

蠏さん:
夜中の1時か、花火が上がったの。それから寝れんかった。なんかウキウキしている訳ではないんだけど今寝たら寝坊とかって思って…

蠏さんは能登半島地震が起きる前、あるお店を30年以上にわたって営んでいました。1989年から七尾駅前に店を構えていた惣菜店「じゃ~ま」。蠏さんの人柄も相まって店はいつも大賑わいでした。しかし2024年の能登半島地震で店は全壊。閉業に追い込まれました。それでも…。

「皮はとらなくてもいい?」「皮はつけといてください」地震から1年以上たった2025年2月からは「じゃ~ま」の味をもう一度楽しみたいという声を受けて料理教室を開催。月に一度のこのイベントはいつも定員を大きく超える応募が殺到するといいます。ただ、蠏さんがこの日キッチンにいたのは料理教室の準備をしていたからではありません。

蠏さん:
きょうは私が料理を作って責任を持たないといけない。料理教室だったら『みんなで作りましょ』って感じだけど

帰省する人が多いゴールデンウイークにあわせて地震以来初めて惣菜を販売することになったのです。

蠏さん:
自信がない。今まで通りにやればいいんだけどその今まで通りにできているのかが不安。きょうは気合い入れて作らんなん

この日のメニューは定番のポテトサラダと旬の筍を使ったカレー炒め。そして一番人気の「じゃ~ま」名物、唐揚げです。150食限定ということもあり販売開始の2時間前から並ぶ人の姿がありました。

一番乗りの人:
娘が好きだったんですよ『ここの唐揚げがおいしいからお母さん買ってきて』って。それで早く行った方がいいかなって並ぶ覚悟で来たんですよ

惣菜を求める人の行列は開店10分前には50人以上に。みんながこの味を楽しみにしていました。そして午前10時。惣菜が次々と売れていきます。

一番乗りの人:
買えた、やっと買えた。いろんなことを思い出しますよ

惣菜を買った人:
高校時代に1回食べたことがあって久々に食べようかなと思って。18年ぶりくらいです

あまりの人気に開店から15分で完売してしまいました。

買えなかった人:
えー、残念

蠏さん:
びっくりした、こんな風になるとは思わなかった

お客さんが来ても惣菜を作り続けていた蠏さん。作業を終えると来てくれた人に声をかけていました。

再会:
あー久しぶり!

惣菜を買えた人も買えなかった人も蠏さんとの久しぶりの再会に笑顔が浮かびました。

高校時代に「じゃ~ま」に通っていた人:
いつも元気な方なので元気をもらえましたし、昔に一瞬で戻れるというか懐かしい感じもしました

蠏さん:
知っている人がいっぱい来てくださっていた。七尾高校の卒業生も来てくれていたし高校時代ちょっとやんちゃだった子がきっちりいいお父さんをしていてびっくりした。私が75歳になるはずだわと思った。ありがたいね

大好評で復活の1日を終えた「じゃ~ま」。その味と思い出は今も七尾市民の中に残り続けています。

石川テレビ
石川テレビ

石川の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。