米価高騰を背景に、休耕田で米作りが体験でき収穫米を得られる田んぼオーナー制度が注目されている。
千葉・鴨川市の大山千枚田では申し込みが例年の3倍に達し、愛媛や滋賀でも定員超えが続出している。
米高騰で田んぼオーナーに応募殺到
米の値段が高~い今、全国で行われている、ある制度が脚光を浴びている。
取材班:
辺り一面に広がる田んぼの中で、皆さん田植え作業をしています。

千葉県鴨川市の広大な田んぼで田植えをしているのは、本職の農家ではない。話を聞いてみると…
東京から来たオーナー:
ゲームのアートディレクションをしています。
横浜から来た新規オーナー:
今年初めて。新規のオーナーです。

政府は3回目の備蓄米放出に向けて入札を行ったが、米の価格は16週連続で上昇した。今も、1年前の2倍以上に跳ね上がっている。
そこで今、全国で注目されているのが、田んぼのオーナー制度という取り組みだ。後継者不足などで耕作が放棄された田んぼのオーナーになれるこの制度が、全国で進んでいる。

鴨川市の大山千枚田保存会が今年新規オーナーを募集すると、例年の3倍ほどの応募があったという。目立つのは家族連れの姿だ。

大山千枚田保存会・石田三示理事長:
(オーナーは)165組、(定員)満杯です。主食の米って、今まで当たり前にスーパーでも、どこでもあったのが、今年はなかったということで、皆さんの認識が変わった、深まったということなんじゃないですかね。
体験と実益が結びつき一石二鳥
GW真っ只中の29日も、新規オーナーの家族が田植えの体験に訪れた。
横浜から来た新規オーナー:
カエルが鳴いてる。すごく自然で別世界に来たような。
横浜から来た新規オーナー:
稲から植えたお米を食べられる。すごい楽しみですね。

大山千枚田保存会では、100平方メートルを年間3万2000円で契約できる。田植えや稲刈りを体験できるほか、収穫量によって30kg〜40kgの米をもらうことができる。
5kgあたり4000円〜5000円の計算だが、子どもと田植えをするオーナーはこう話す。
東京から来たオーナー:
食育でいいかなと思って。どうやって毎日食べているお米が作られているか。スーパーで買っても分からないから。
事前に注文しておけば、ここの米で作られた弁当を、田んぼを見ながら食べることもできる。

埼玉から来た新規オーナー:
初めてです。2025年から(オーナー)。ここのお米みたいなので、いっぱい(米が)とれるといいですね。どこまで(米価格が)上がるか分からないですからね。
田んぼオーナー制度は各地で人気急上昇
オーナー制度は、全国でも人気を集めている。
標高500mにあり、天空の隠れ里とも呼ばれる愛媛県大洲市の樫谷棚田では、年間3万円で100平方メートルのオーナーになると、作業の体験や収穫された25kgの米と、野菜セットをもらえる。

定員35組のところ、今年の申し込みは40組だ。制度の導入から9年で、初めて定員を超えた。
また、滋賀県の桜谷地域では2025年初めてオーナーを募集したところ、定員の40人が4日間で埋まったという。
オーナー制度の拡大について、専門家はこう話す。

宇都宮大学・松平尚也助教:
備蓄米を探し求めても購入できない中で「米作りの体験できる」だけでなく、「実際に米がもらえる」「食卓に並ぶ」というセットで価値が上がっている。まだ一部の有名な地域の事例だが、広がる可能性もあると思います。
今後は、オーナー制度を継続できる環境の整備が重要になってくるという。
(「イット!」4月29日放送より)