フィリピンを訪問中の石破首相は29日、首都マニラのマラカニアン宮殿でマルコス大統領と会談し、海洋進出を強める中国への対応を念頭に、日本とフィリピンの安全保障面での協力を一層強化する方針で一致した。
具体的には機密情報の交換を可能にする軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結に向けた議論開始や、自衛隊とフィリピン軍が物資などを提供し合う協定=ACSAの交渉入りで合意した。
その上で、中国を念頭に「東シナ海、南シナ海における力、あるいは威圧による一方的な現状を変更の試みに反対すること、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現に向け引き続き、両国で緊密に意思疎通をしていくこと」を確認した。
経済分野では、アメリカの関税措置と中国などによる報復措置の影響についても意見交換し、石破首相は「フィリピンにおいては多くの日本企業が現地経済に役割を果たしている。私はフィリピンの声にも耳を傾け、より良い解決を目指していきたい」と伝えた。
また、マルコス大統領が目指すフィリピンの「上位中所得国入り」に協力し、情報通信、エネルギー、インフラ、防災など幅広い分野での連携を強化することで一致した。
会談後の記者発表で石破首相は「日本とフィリピンが同盟に近いパートナーになったことを感慨を持って受けとめている」と述べ、会談では両首脳が1970年の大阪万博に訪れていたことも話題になったことを明かし、開催中の大阪関西万博へのフィリピンからの来場に期待を示した。
マルコス大統領は、これまでの両国の関係強化の取り組みを評価し、現在の関係を「黄金時代」だと表現し、日本は信頼するパートナーであることを強調した。
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