超党派の国会議員が参加する「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」が25日、総会を開いたが、議連が目指す今国会での改正のめどが立たず、いら立ちを見せる議員もいた。

同議連は、有罪判決を受けた人が裁判のやり直しを求める「再審制度」を巡り、刑事訴訟法の規定の改正を目指している。

一方、法務省も、法相の諮問機関の法制審議会(法制審)に法改正の検討を諮問していて、専門部会が21日に初会合を開いている。

議連の総会では、法務省が法制審について説明を行ったが、出席した議員から批判的な意見が相次ぎ、元法相の自民党・松島みどり議員が、「できるだけ早く議論をやると言っているが、それはやらないのと一緒だ」と激しく迫る一幕もあった。

法制審での検討は一定の期間を要することから、議連側には「法務省の時間稼ぎではないか」との疑念があり、あるベテラン野党議員は、「法務省は再審法の議論すら否定してきたのに、今年になっていきなり審議会に部会を立ち上げた。議連に対する妨害としか思えない」と反発している。

総会後、議連会長の自民・柴山元文科相は、「残念ながら法務省は(法制審の答申時期の)めどすら示さなかった」と不満を漏らした。

柴山氏は、「あくまで今国会中の成立を目指している」と強調していて、議連は、議員立法による改正に向け、法案の条文化の準備も進めている。

ただ、議員立法に向けた道のりも順調とはいえない状況で、自民内の反発が法案提出に向けた“弊害”となっている。

議連幹事長の立憲民主党・逢坂議員は、記者団に、「立憲は既に法務部門で(法案の要綱を)議論し、異論はなかった」と述べて胸を張ったが、事務局長の自民・井出議員は、「他党には首を長くして待ってもらっている状況だ」と申し訳なさそうに語った。

自民党内で刑訴法改正案の審査にあたる法務部会は、一部議員の抵抗にあっていて、3月には柴山氏が改正案の説明をしようとしたところ、法相経験者によって阻止されるといった出来事があったとされる。

議連幹部は、「法務省が法相を経験した議員らに働きかけて、法案提出の阻止を狙っている」とみていて、法務省への疑念が根強い。

議連に所属する国会議員は400人近くいて、党派を超えて改正への理解が広がっているものの、6月までの会期中に法案を提出できるかは不透明な状況で、井出氏は「今国会での成立が最大のプレッシャーだ」と語っている。

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