和歌山県のアドベンチャーワールドが24日、飼育中のパンダ4頭を2024年6月に全て中国に返還すると発表した。これにより急浮上したのが、日本からパンダが1頭もいなくなってしまう“ゼロパンダ”の可能性。上野動物園にいる2頭の返還期限は2026年2月で、期限の延長がなければ日本のパンダはゼロになる。これを回避する手だてはあるのか。

「パートナー探すこと望ましい」返還を決断

2025年6月に中国に返還することが決まったのは、2000年に誕生したメスのジャイアントパンダ良浜と娘の3姉妹、結浜(ユイヒン、8歳)、彩浜(サイヒン、6歳)、楓浜(フウヒン、4歳)だ。

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アドベンチャーワールドは、中国との契約期間が2025年8月に満了となることから、今後について協議を進めていた。

その結果、現在24歳と高齢期に差しかかる良浜(ラウヒン、メス)が安心して暮らせる環境が整っている中国で過ごすことが望ましいと判断。

また、娘の3頭もパートナーを探すことが望ましいとして、2025年6月の返還を決断したという。

訪れた客は、「パンダを見に行こうって言ったんですけど、最後になるとは」「悲しい」「元気でね」と話した。

上野の2頭期限延長なければ「ゼロパンダ」の事態に

ジャイアントパンダが初来日したのは1972年。

中国国交正常化を記念して、上野動物園にオスのカンカンとメスのランランがやってきた。

世界三大珍獣の1つとされるジャイアントパンダをひと目見ようと集まった人たちで大行列ができるなど、日本でパンダフィーバーが起きた。

現在、上野動物園では4年前に生まれた双子のシャオシャオとレイレイが元気に成長中だ。

上野の2頭も2026年2月が返還期限
上野の2頭も2026年2月が返還期限

6月にアドベンチャーワールドの4頭が返還されると、日本に残るのは上野動物園のシャオシャオとレイレイのみ。

しかし、返還期限が2026年2月20日のため、延長がなければ日本からパンダがいなくなる事態になる。

ゼロパンダ「可能性ある」も「その期間は短い」と専門家

専門家は、「パンダがいなくなる可能性はある」としつつも「その期間は短い」と分析する。

日本は「パンダ外交が実に有効的に機能している国家」と専門家
日本は「パンダ外交が実に有効的に機能している国家」と専門家

駒沢大学・三船恵美教授:
中国のパンダ外交には、決してビジネスだけでなくて、そこにあるのは中国共産党の対外的な思惑です。日本というパンダ外交が実に有効的に機能している国家に対して、ゼロにしてしまうということは、なかなか考えにくい。たとえ若干のいない期間があったとしても、やはりその後には関係改善とか、そういった面においてパンダを利用するのではないか。

茨城や仙台誘致も来日いつ決定するか不明

専門家によると、ジャイアントパンダ1頭の年間レンタル量が約1億4000万円かかるという。

現在は、茨城県や仙台市がジャイアントパンダの誘致に乗り出しているが、来日がいつ決定するかは不明だ。

今回、返還を決めたアドベンチャーワールドでは、25日もジャイアントパンダをひと目見ようと多くの人が訪れていた。

来園者は「上野動物園に見に行かないといけなくなっちゃうんで残念です」「また戻ってきてほしい」「ええっ全部!?って思って、1頭2頭ぐらいかなと思ったら…」「(アドベンチャーワールドがある)白浜町どうなっちゃうんだろうって…」などと話した。

シンボルだったジャイアントパンダの全頭返還という大きな決断を下したアドベンチャーワールド。

「パンダ保護共同プロジェクトの継続実現に向けて協議を進めていく」
「パンダ保護共同プロジェクトの継続実現に向けて協議を進めていく」

新たに誘致するかについては、「パンダ保護共同プロジェクトの継続を強く願っており、実現に向けて協議を進めていく」としている。
(「イット!」4月25日放送より)

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