一時は福岡から撤退した有名ドーナツ店が「9年ぶり復活」へ。オープンを目前に控え、驚きのサービスで大きな話題となっている。

いつも長い行列 福岡発祥の生ドーナツ
福岡市の中心部、天神の南エリアにいつもできている長い行列、その先にあるのは「?」の看板を掲げた店だ。その名は「I'm donut?」(アイムドーナツ)。人気の生ドーナツを買い求める人が並んでいた。

福岡発祥のベーカリーが展開するI'm donut?。2022年のオープン以来、シュワっとした口どけが特徴の生ドーナツを求めて連日、全国からファンが詰めかけている。4月にはついに海外進出を果たし、その1号店をアメリカ・ニューヨークのタイムズスクエアにオープンしたばかりだ。

列に並ぶ人は「まだ食べたことがない」という人も多く、未知の食感に期待に胸をふくらませている様子。「いつも行列だから1回も食べたことなくて、話のネタに」「きょうは(列が)短いから並んでみようかと」。

ふわふわ食感「いくらでも食べられそう」
一方、福岡市城南区に今年2月オープンしたのが「友達乃ドーナツ」。こちらも生ドーナツの専門店だ。ショーケースにはイチゴクリームやあんこバターなどおいしそうな生ドーナツの数々がずらりと並ぶ。

人気というホイップクリームの生ドーナツはふわふわした軽い食感が特徴。「いくらでも食べられるような気がします」との声も上がる。

友達乃ドーナツの池口夏さんは「大手や競合他社も多いけど、自社らしさで差別化できたらいいと思って、日々探り探りやっています」と苦労をのぞかせる。

「ドーナツ旋風」県外勢も次々と福岡へ
このところ福岡のドーナツ業界は競争が激しさを増している。去年3月、福岡に上陸したのは東京を中心に展開する「JACK IN THE DONUTS(ジャック・イン・ザ・ドーナツ)」。

その翌月には北海道の生ドーナツ専門店「MILK DO dore iku?」(ミルク・ド・ドレイク)が福岡に西日本1号店をオープンさせた。これら県外から進出した店も人気となっている。

驚異の「1人12個」街頭で無料配布
そんな中、4月21日に福岡市・天神の街頭で事前予告なしのドーナツの無料配布が行われた。仕掛けたのは有名ドーナツ店「クリスピー・クリーム・ドーナツ」。福岡市に24日にオープンする複合ビル「ワン・フクオカ・ビルディング」(ワンビル)への出店をアピールするために行ったサービスだ。

PRのために試食品を配ることは珍しいことではないが、街の人をざわつかせたのはその配る数。1人1個ではなく、なんと1人1箱(12個入り)という大盤振る舞い。大きな紙箱を開けてみると、そこには確かにドーナツが12個並んでいる。あっという間に行列ができ、準備された420箱はわずか20分ほどですべて配り終えたという。受け取った人は「びっくりした」と驚きながらも「家族で食べる」などと笑顔を浮かべていた。

9年ぶりの福岡“再進出”は
クリスピー・クリーム・ドーナツが九州初の店舗として福岡に進出したのは2011年。このときも開店1時間前から大行列ができた。その後、県内では計3店舗を展開したがいずれも2016年に撤退している。

それから9年、根強いファンの要望に応える形でワンビルに“再進出”することになったクリスピー・クリーム・ドーナツ。5月には同じ福岡市の商業施設「キャナルシティ博多」への出店する予定だという。

クリスピー・クリーム・ドーナツの下田咲さんは「ドーナツブームの火つけ役として福岡に再出店ということで、原点に戻って楽しんでもらえたら」と話す。福岡の「ドーナツ旋風」はさらに激しくなりそうだ。
