京都大学が17日、iPS細胞から作ったドーパミン神経細胞を、パーキンソン病患者7人に移植する治験で安全性を確認し、4人で運動機能改善を得たと発表。重い副作用などもないという。パーキンソン病は国内で25万8000人の患者がいるとされ、患者団体からは喜びの声が上がっている。

安全性が示されたiPS細胞治験

開幕からまもなく1週間となる大阪・関西万博で注目されているのが、大阪府や市が出展する地元館で紹介されているiPS細胞で作られた「心筋シート」だ。

そんなiPS細胞をめぐり、注目のニュースが飛び込んできた。

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17日、京都大学はiPS細胞を使ったパーキンソン病の治療法について、治験で一定の効果が確認されたと発表した。

京都大学iPS細胞研究所・高橋淳教授:
今回、少なくとも安全性に関しては、かなり安全で大丈夫ということが分かったと思う。これからは移植する量を増やすとか、あるいは若い人や症状が軽めの人とか、そのような方々にも対象を広げていけると思う。まだまだ決してゴールではなく初めの一歩で、これからさらに改善をしていく形かなと思う。

パーキンソン病は、脳内で情報を伝えるドーパミンという物質が不足することで起きる難病だ。体が震える、動作が遅くなるなどの症状があり、これまで根本的な治療法は見つかっていない。「バック・トゥー・ザ・フューチャー」などで知られる俳優のマイケル・J・フォックスさんも、この病気を患っている。

厚労省によると、日本国内には25万8000人の患者がいるとされている。

今回発表を行ったのは「京都大学iPS細胞研究所」の髙橋淳教授のグループだ。iPS細胞から作ったドーパミン神経細胞を、7人のパーキンソン病患者の脳に移植する治験を2018年から実施した。

その結果、全員に重い副作用などはなく、患者6人については細胞がドーパミンを生成し、そのうち4人で運動機能の改善が見られたという。
患者団体からは喜びの声が上がっている。

全国パーキンソン病友の会 京都府支部・岡田孝支部長:
今まで治らないと言われていたんです、パーキンソン病というのは。現状維持か、もしくは悪くなるということで。それが治るということになっただけで大変素晴らしいニュースです。

医療の発展と実用化に大きな期待

青井実キャスター:
パーキンソン病に詳しい脳神経内科の内野先生、どう感じましたか?

金町駅前脳神経内科・内野勝行院長:
(これまでは)結果的にドーパミンを出すための治療をしていたが、ドーパミンが出るようにするという根本治療になります。今までとは全くアプローチが違う治療になります。かなりセンセーショナルで、「パーキンソン病は治せない」というのが前提としてあったが、これでようやくパーキンソン病の方々に光が見えた。難病の概念が変わるような第一歩になる治療だと思います。

青井キャスター:
中村竜太郎さん、このニュースどう捉えますか?

SPキャスター中村竜太郎さん:
不治の病とされていたパーキンソン病ですが、まずは第一歩ということを考えてみても、患者さんやそのご家族にとっては本当に大きな希望、光明になると思いますね。

青井キャスター:
治せない病気が治るということですからね。大きな光ですよね。ところで、今回の治療に使われたiPS細胞、皆さんどんなものか分かりますか?

40代:
iPS細胞、病気を治す感じ?テレビで耳にはしてます。

40代:
山中教授でしたっけ、ノーベル賞を取られた。記憶にありますね。未来の再生医療が期待できるイメージ。

60代:
iPS細胞って、万博で心臓の細胞再生する…。

60代:
パーキンソン病の。ニュースで見ました。

青井キャスター:
iPS細胞は、ノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学・山中伸弥教授が、世界で初めて作製に成功しました。再生医療や病気の原因を解明し、新しい薬の開発などに活用できると考えられています。では皆さん今後、iPS細胞にどういったことを期待しますか?

70代:
再生医療ですね。主人が10年前にがんで亡くなった。いろいろな治療や再生医療のことも聞いてはみたが、ダメだったので。

20代:
1人でも多くの命が助かるならそれでいいと思います。難病と言われていて、今までの技術では治らなかったものに活用してもらうことができるのであれば、それは素晴らしいことだと思う。

iPS細胞は、パーキンソン病をはじめ、医療の発展に大きな期待が寄せられている。できるだけ早く実用化することを期待したい。
(「イット!」4月18日放送より)

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