間近で見つめたくなる展覧会の話題です。

九州では初開催となる岡山県在住の作家、大森浩平さんの展覧会が鹿児島市の長島美術館で18日から始まりました。

はたしてどんな作品を集めた展覧会なのでしょうか。

「信じられない」という声が寄せられた異次元の緻密さをご覧下さい。


光沢が感じられるデジタル時計。

みなさんは信じられますか!?

この時計、鉛筆で描かれたものなんです。

描いたのは、岡山県在住の鉛筆画家、大森浩平さん、30歳。

7種類の濃さの鉛筆を使い分け、まるで写真のような鉛筆画をSNSで発信しています。

その発信のきっかけとなったのがこちらー。

鉛筆画家・大森浩平さん(30)
「この作品が一番長く時間をかけていて、280時間、期間にして5カ月」

当時30万いいねと、驚きの声が寄せられた、ボルトとナットを書いた作品です。

大森さん
「どのモチーフも一度写真に収めて描いている。自分の納得いく瞬間を切り取って、そのものが一番美しく見えるような見せ方にこだわっている」

当時デザインを学ぶため大学に進学したものの、課題を次々にこなしていく環境が合わず、道に迷っていたという大森さん。

この投稿を機に、鉛筆画に力を入れ始めます。

こちらは水に濡れた女性。

Q.この水の感じはどうすれば出せるんですか?

大森さん
「これは…僕の中に描き分ける感覚はない。忠実に部分部分、狭い箇所に集中して描けば水は水に、金属は金属になる」

その過程は制作の様子を見ると分かります。

大森さんは金属や水など一つ一つをかき分けようとはせず、左から右に、線を重ねるように描き進め、最後にその質感が写真のように現れるのです。

まさに異次元の緻密さ。

そのことについて大森さん自身は、神経質な性格ゆえにできることだと話します。

取材中には、そんな神経質な一面を感じるシーンもありました。

大森さん
「靴のベロがあるじゃないですか。これが真ん中にいて欲しいんですけど、履いていると外に出てくるので、ハトメを付けてセンターに固定する」


絵を描くことや作品を完璧に保存することに神経をすり減らし、一時は描けなくなってしまったこともありました。

大森さん
「SNS出身の鉛筆画家だが、みなさんの反応やリアクションをもらうことでやりがいを感じるし、次はもっとクオリティを上げた作品を描こうという励みになる」


生きづらさを武器にー

会場に並ぶ一枚一枚は、大森さんでなければ生み出せなかった作品ばかりです。

九州では初となる、鉛筆画 大森浩平展は、5月18日まで鹿児島市の長島美術館で開かれています。


※大森さんの作品は大森さんのYouTubeチャンネル(大森 浩平 / Kohei Ohmori)でもご覧頂けます。

鹿児島テレビ
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