富山の子どもをめぐる課題を考えるシリーズ「こどものミカタ」。

いじめや不登校、ひきこもりなど子どもや家庭が抱える悩みはいま複雑化しています。

こうした中で県が新たな相談拠点を整備するなど取り組みが進められていますが、生きづらさを抱える子どもたちとどう向き合っていけばいいのか…。
子どもたちの「居場所」で聞きました。

高岡市のコミュニティハウス「ひとのま」。

一軒家を借りて、子どもから大人まで居場所を必要としている人を受け入れています。

特に多いのが不登校の子どもたち。
去年は小中高校生だけで、のべ1700人が利用したといいます。

「へい君ら!俺とマリカーしよ!」
「個人戦やろ!」

この居場所を立ち上げた、宮田隼さん。
運営を続けて今年で15年になります。

*小中学生
Q宮田さんってどんな人?
「宮田さんは変な人!」
Qどんなところが?
「全部!…変な人だけど、実際10何年とかこういうところ運営してるし…そろそろ休みとった方がいいなと思いますけど」
「『ひとのま』なくなったら正直私はどこでどう生きていけばいいかわからない」
「(ここは)不登校の塊ですから!」
「ここにいる人たちは話してるとマジで飽きない」

昨年度、県内で不登校の小中高生、そしていじめの認知件数はともに過去最多となりました。

また、児童虐待の相談件数は最新の調査で過去2番目に多くなっています。
※不登校(小中高校)3255人 
※いじめ(小中高・特別支援)3100件 
※児童虐待相談件数(23年度)1054件 

長年、生きづらさを抱える子どもたちと歩んできた宮田さんは、近年の変化をこう話します。

*宮田隼さん
「どっちかっていうと家庭の問題がいろいろあって」
「生活に困窮しているとか、あと夫婦仲、しかもそれが仲が悪いっていうのもけっこうとんでもないレベルで。だから学校どころじゃなくて、みたいな不登校の子が随分ここ最近特に目立つようになったなって。でもこういうところって学校もなかなか介入しにくいというか」
「そういうケースは、『ひとのまさん、ちょっと間に入ってくれないか』って依頼がすごく多くて。学校からもだし、行政からも」

「ひとのま」は、寄付やクラウドファンティングなどで資金を集め、15年運営を続けてきました。

困っている人の話を聞き、ときには食料や仮の住まいを提供するなど生活の立て直しも手助けします。

学校や行政、福祉関係者などからも頼られる存在になりました。

ただそれほどに、子どもたちを取り巻く環境は複雑化しています。

こうした中で、県が新たに整備し今週開所したのが、「県こども総合サポートプラザ」。

これまで別々の場所にあった「児童相談所こども相談センター」、「県総合教育センター」、「こども・若者総合相談センター」、「県警少年サポートセンター」の4つの相談機関が集約され、連携がとりやすくなりました。

対面や電話などで、子どもや家庭に関することなら何でも相談でき、継続的な支援も行います。

ただ、場所や仕組みの整備が進む一方で大切なことがあると、宮田さんは話します。

*宮田隼さん
「大事なのはそこでどういう風に子どもの声を聞くのかみたいなところになってくるのかなと思ってて。どうやって仲良くなるかっていう1点。仲良くならないと本心は出さんでしょうって。大人もそうじゃんと思ってるから」
「学校行ってるとか行ってないとか別にどっちでもいいんやけど、みたいな。なんか言いたいことあったら言ったら、みたいな」
「綺麗ごとじゃなくて好き勝手言ってる中にこそいちばんその子の困りごと、真実に近いものが出てくると思うんで。そこをやる覚悟があるのかいっていう」

「ひとのま」に通う小学生も…。

*小学生
「(学校に行っていないと)周りからの視線がむっちゃ気になるようになるんですよ。周り、うちらのことどんな目で見とるんやろーなーとか。どう思われとるかなーって。すごい気になっちゃって。ずっと心が疲れちゃう」
「(これまで)不登校っていうレッテルをずっと貼られてる状態ですごく心がどんよりしてたのはあります。思い込みの一種もあるんでしょうけど・・・不登校で(自分は)大丈夫なんかなっていう不安はずっとありましたけど、ここにきてからなくなった」

*宮田隼さん
「大人って話を聞くよって言うんだけれども、都合のいいことしか聞く気がない、とか(子どもたちは)言うんだよ。で、本当のことを言えって言うけれども、本当のことを言ったところで自分たちが聞けない話だったとしたら、うやむやにされるし」
「どこに課題があるかって言ったら、その大人自身の在り方が問われてるだけの話だと思うから」

「子どもと大人」ではなく、「人と人」がつながり向き合える場が、求められています。

富山テレビ
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