大分県内でも大きな被害が出た熊本地震の発生から16日で9年が過ぎました。
当時、浮き彫りとなった課題のひとつが外国人への情報発信でした。
こうした課題の解決が期待される 製品を開発した企業が別府市にあります。取材しました。
2016年に発生した熊本地震から9年。県内では別府市と由布市で震度6弱を観測しました。課題となったのが災害に関する情報を外国人に届ける方法です。多言語で一斉に情報を発信する必要がありますが、県内でもインバウンド客や外国人労働者が増加する中で、命にかかわる情報をどうやって届けるのか…。
そんな課題を解決するのに期待される製品を開発した会社が別府市にあります。
通信機器の開発などを手掛けるサークル・ワンです。
従業員わずか10人のこの会社が開発したのが…
◆サークル・ワン 一丸敏雄社長
「日本語で1回話すだけで同時に複数の言語に翻訳される」
翻訳機能が搭載されたIP無線機「コスモトーク」です。
◆TOS佐々木理人記者
「こちらの無線機日本語で話しかけてみます。こんにちわ」
◆コスモトーク
「ハロー」「ニーハオ」
受信機側では、瞬時に指定した言語に翻訳された音声が流れました。
中国語、英語、インドネシア語韓国語など8か国語に対応していて特許も取得しています。
携帯電話が通じる場所であればどこでも使うことができ、離れた場所にいる相手とも多言語でスムーズに連絡することができます。
別府市は、すでに災害時の情報伝達手段としてサークルワンの別のシステムを導入しています。
こちらは防災スピーカーから流れる情報が音声やメッセージでスマートフォンに届く仕組みですが、多言語には対応していません。
◆サークル・ワン一丸敏雄社長
「やはり災害となると命にかかわることなので自治体からも外国の人に対しての放送を翻訳してほしいという要望があった」
こうした要望もあり、搭載された翻訳機能。
さらにこんなことも可能に。
◆TOS佐々木理人記者
「津波が来ます。高台に避難してください」
こう呼びかけると…
専用のアプリを入れたスマートフォンを持っていれば
◆スマートフォンの音声
「(韓国語)津波が来ます。高台に避難してください」
指定した言語でリアルタイムに情報が届きます。
現在は、翻訳機能の正確さなどを検証中だというコスモトーク。
2025年の夏ごろには利用が可能になる見通しで、導入を検討している自治体もあるということです。
多言語で情報を一斉に伝達する仕組みを詳しくみていきます。
まず、コスモトークを使って防災無線で呼びかけます。
すると、専用のアプリが入ったスマートフォンには、それぞれが指定した言語に翻訳されて情報が届くということです。
開発したサークルワンでは災害時だけでなく、外国人が働く建設や介護などの職場、あるいは国際会議など多言語でのコミュニケーションが必要な場面での使用も想定しているということです。