高知県須崎市が、全国初となる画期的な取り組みを開始する。1歳未満の乳児を対象に、RSウイルス感染症の予防薬「ベイフォータス」の無料接種を2025年6月頃から実施するのだ。この先駆的な施策は、赤ちゃんの健康を守る重要な一歩となりそうだ。
「2歳までにほとんどが感染」時に重症化も
RSウイルス感染症は、主に子どもがかかる呼吸器の病気だ。発熱や鼻水などかぜのような症状が出るが、特に生後6カ月未満の赤ちゃんがかかると肺炎などを起こして重症化することがある。2歳になるまでにほとんどの子どもが感染するとされており、乳幼児の健康にとって大きな脅威となっている。

これまで日本では、予防薬「ベイフォータス」の保険適用は基礎疾患のある子どもなどに限られていた。しかし須崎市は、基礎疾患の有無にかかわらず全ての1歳未満の乳児に対して、この予防薬の無料接種を実施する。この取り組みは全国で初めてのケースだという。
「入院頻度が少なくなれば」医師会専門医から期待の声
高知県医師会の小児科専門医である吉川清志さんは、この取り組みについて「免疫の製剤として赤ちゃんにこれが使えるというのはとてもいいことです」と評価している。

さらに、吉川さんは具体的な効果についても「須崎の子どもたちがRSウイルス感染症にかからなくなって、入院も頻度が少なくなればとてもいいことだと思います」と言及。医療現場からも大きな期待が寄せられていることがうかがえる。
世界20カ国以上で実績「ベイフォータス」対象は1歳未満
「ベイフォータス」は既にアメリカやヨーロッパなど20カ国以上で接種されており、RSウイルス感染症の重症化リスクを軽減させる効果が期待されている。

接種対象は須崎市内在住で、保護者が接種を希望する1歳未満の乳児だ。市内の小児科で無料で受けることができる。ただし、予防接種は医療機関での予約が必要な場合があるため、詳細は今後須崎市のホームページに掲載される予定だ。

須崎市の楠瀬耕作市長は「深刻な流行病でございますので、接種をお考えいただければと思っております」と呼びかけている。
(高知さんさんテレビ)